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燃料電池自動車の普及への取り組みと今後の課題

202-086 佐藤 長諭

近年、新しい低公害車として、燃料電池自動車が注目されている。燃料電池自動車は水素を燃料とするため、一切の温室効果ガスを発生せず、そのかわりに水だけが排出される究極のエコカーである。しかし、現在のところ、画期的な環境性能を備えた燃料電池車の普及には時間がかかるといわれている。そこで本稿では燃料電池自動車と他の低公害車を比較し、燃料電池の現状を把握した上で、普及への取り組みと今後の課題について考察した。

燃料電池自動車の開発は、現在自動車メーカー各社が最先端の研究に取り組んでいる為、企業秘密の部分が多く、詳細なデータの入手は困難である。そこで、現在市販されている数少ない燃料電池自動車の一つである「トヨタ FCHV」の技術情報がトヨタ自動車のホームページに公開されていたので、他の低公害車との比較に利用した。結果として、インフラ整備とコスト面での問題が普及を妨げていることが浮き彫りになった。

インフラ整備の問題は、他の低公害車と同様に難しい課題が残っているが、燃料電池自動車の場合、燃料の水素を太陽光や天然ガスのような自然エネルギーからつくることが可能なことなど、他の低公害車よりは、柔軟性の高いことが分かった。コスト面での問題は、燃料電池スタックが、量産化によりどの程度コストダウンが可能かを、政府が定めた普及目標を達成できるという前提で分析してみたところ、将来的にはガソリンエンジンのコストと比べても遜色無いレベルまでコストが下がることが分かった。

現在、低公害車として最も普及する可能性が高いのはハイブリッド自動車である。しかし、燃費は改善できても、ガソリンが主燃料に変わりはなく、排ガスをなくすことはできない。また、ここ数年継続して、上昇し続ける原油相場と排ガスによる環境汚染の深刻さは、石油だけに頼ることの限界を示している。以上のことから、石油以外の代替エネルギーにシフトする必要性のあることは明らかである。インフラの整備やコストの削減など、山積みの課題がクリアされれば、燃料電池車が次世代のエコカーとして普及する可能性は高いと考えられる。



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