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文明と水の今後の展望について

202-046 奥村 紗香

20世紀は石油の世紀で、石油による大きなエネルギーは人間活動を補助し人口は急増したが、秩序ない水の乱用で地球環境は悪化し、21世紀は水の世紀となると言われている。本論文では水と文明の今後の展望を探る。

文明とはつまり都市化である。人が集中すれば水の需要も排出も増える。その水管理によって文明は栄枯盛衰してきた。エネルギーへの変換、輸送への利用、地下水利用、水争いなど基本的な水との関係は現代も変わらないが、利用規模が格段に増大したため、水循環のバランスが崩れてしまった。

水危機への対策を考える国際的な会議が世界水フォーラムであるが、ここでは水を人間の基本的ニーズとし、誰の所有も許さないコモンズ=基本的人権と定義していない。2003年には「水の商品化」に焦点が集まった。水の商品化とは、(1)水道の民営化、(2)天然水を売買するボトルウォーターの取引、の2つを指す。後者は大量輸送(輸出)となり、域外への水の大量移動により、生態系の混乱や生息環境の破壊、地下水系の枯渇などが危惧される。

水道事業の形態は民営、公営、非営利組織=NPOによる運営の3つである。民営においては、水の分配に求められる社会奉仕・公平分配が不徹底であり、またサービスを受ける住民との地理的、意識的隔たりも障害となっている。一方、公営においても非効率が問題となる。第3の形態であるNPO運営においては、利益は地元に還元するとともに、地域住民が経営に参加、役員の人事権も掌握しており、水を所有しているのではなく、インフラを所有しているにすぎない、とされる。

文明と水管理は表裏一体の関係にある。人口が膨らんでしまった現代ではどれだけ「持続可能な」水管理ができるかが問われている。将来世代に受け渡す環境が劣悪であってはならない。水危機に直面している今、水がどれだけ生存に不可欠なものかを理解し、水の商品化がなされる中で、必要な水は自分達で管理・監視しなければならない。水消費はゼロにする事は不可能だが、それを意識した上で、人類の持続可能な発展のために新たな文明を構築する、というのが文明と水の関係を存続させる答えであろう。



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