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バイオマスエネルギー利用と地域活性化

202-045 荻野 良子

わたしたちは、これまで大量生産・大量消費・大量廃棄のシステムの中で発展を続け、エネルギーを膨大に消費してきた。いま、そのようなエネルギー大量消費型社会から、持続可能な循環型社会への転換が迫られている。近年、新エネルギーの一つとしてバイオマスエネルギーが注目されている。政府は、2002年12月に「バイオマス・ニッポン総合戦略」を閣議決定し、本格的な取り組みを始めた。

バイオマスとは、再生可能な動植物由来の有機性資源で化石資源を含まないものをいう。バイオマスには、再生可能である、貯蔵性がある、莫大な賦存量がある、カーボンニュートラルである等の特徴によって、1)地球温暖化の防止、2)循環型社会の形成、3)競争力のある新たな産業の育成、4)農林漁業・農山漁村の活性化、という効果が期待される。

地域という小さな単位でも、バイオマスの利活用に積極的な意欲を見せているところが増えている。バイオマス利活用により、上記のような4つの効果を求めるだけではなく、地域の活性化につなげる期待がある。

岩手県は“環境都市いわて”を目指し、バイオマスの利活用に積極的な取り組みを行っている。その取り組みには、岩手県の地域特性が生かされている。岩手県は県土の約8割が森林であり、多くの間伐材や残材、端材等が産出され、それら間伐材等を木質バイオマスエネルギー資源として有効活用している。その一つとして、木材をペレットという形の燃料に変え、そのペレットを使ったペレットストーブの普及を進める取り組みがある。ペレットストーブ設置台数は、補助制度によって家庭、公共施設で増加している。しかし、量産によって低価格化をはかる必要性があり、原料供給の不安定性等の課題も残っており、改善すべき点は多い。

バイオマスエネルギーを利用することにより環境への負荷を低減し、地域の活性化にもつなげようとする試みには、多くの課題がある。未解決の部分が残るとしても、行政・企業・住民が連携して試行錯誤していくことで、少しずつではあるが確実に効果が得られるであろう。



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