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前橋市における中心市街地をめぐる状況と再生の課題

201-104 棚橋 秀行

近年、地方都市の中心市街地衰退が大きな問題として注目されている。中心市街地問題については、1998 年の中心市街地活性化法施行以降、559市町村576地区(2003年5月現在)が基本計画を立案済みである。問題が切迫している点は認識されるようにはなってきたが、実際に、個々の都市において的確な実態が把握され、有効な施策を展開できているとは言えない。「持続的発展が可能な都市」をいかに計画し実現していくかということは、それ自体が地方都市にとっては最大の課題の一つであるとともに、中心市街地問題の解決への展望を考えるときに、欠かせない視点である。

本論文では、前橋市の施策を他の都市の施策と比較検討する。日本の商店街は、欧米の商店街の後を追っており、このままでは衰退していくのは必至である。それを防ぐためには、商店街のマスタープランをつくり、商店街の最適な長さや、最適な幅員を考えなければならない。繁栄している商店街に共通する特徴を反映させていくことも重要になる。駐車場の分散から集中へ、左折での出入り、歩く距離を短く、予定交通量の算定など駐車場の整備計画を考えることも自動車保有率の高い群馬県ではかかせない要素である。

中心市街地の復興のために考えられる施策からすると、現在の前橋市の方針では不十分であり、事例に学びながら見直す必要がある。

特に駐車場の計画は不十分なものである。現在の前橋市の駐車場の状態は小規模な駐車場が点在する形で、商店街を通り抜けて入っていくもので利用しづらい配置になっている。今後の計画にもその駐車場の配置を変える計画はない。

魅力ある商店街を実現するためのビジョンが抽象的な表現で示されており、具体的にどのような特色ある商店街づくりを目指しているのかが不明瞭で、現在の施策では郊外にないような魅力的な特色ある商店街の実現は難しい。

前橋市の取り組みは始まったばかりで、計画段階にとどまっており、今後どのように効果をあげるのかが重要である。現在の商店街の状況を打開するには、現行のままの施策では不十分であり、他の都市の事例に学びながら十分に考慮し実行していくことが必要である。



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