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東京都のディーゼル車政策と環境、経済の両立

200-202 白 継華

今日の環境問題は、廃棄物問題や自動車環境問題など地域的な問題から、地球温暖化や生物多様性の喪失、化学物質問題など空間的、時間的広がりを持つ問題にまで拡大し、深刻化している。

特に、今日の経済状況下においては、環境問題を経済の制約要因ではなく新たな成長要因と捉え、環境の保全と経済の活性化とを具体的に一体化させていくことが必要となっている。

近年では、ディーゼル車から排出される浮遊粒子状物質(SPM)による、発ガンリスクの増大、気管支ぜんそく、花粉症などの健康への影響が懸念されている。こういった状況をふまえ、平成13年6月、排出ガス基準を満たさない車の登録を規制する「自動車NOx・PM法」が成立し、平成14年10月より施行されている。

東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の一都三県では、平成15年10月から、条例によってディーゼル車の走行を規制する「ディーゼル車排出ガス規制」が施行された。政令指定都市である横浜市、川崎市、千葉市をかえた七都県市会議は、2000年11月に(ディーゼル車対策推進本部)を設置し、ディーゼル車規制の円滑な実施に向けて取り組んでいる。

東京都は2,003年12月19日、4都県のディーゼル車排ガス規制で、トンネル内の発がん物質や、すすが半減したとする調査結果を発表した。規制前の2001年3月のデータと比較したところ、発がん物質は最大58%、すすは49%減少していた。気象の影響を受けないトンネル内を調査することで、規制による改善効果が確認された。

自動車の利用を全廃するわけにはいかない。環境対策を進めて技術的に徹底的に開発を進めることが大切である。やがて社会、経済そのものがよりグリーンな方向に傾いていくことは、明らかである。なぜならば、環境問題は一時的なブームとは異なり、今後の自動車環境対策の実行にあたっては、われわれ一人ひとりの意識改革が重要となるからである。環境への配慮なしに企業は生き残れない、1つの産業の経済は打撃を受けると同時に、更に発展が見込める新興の産業が存在するであろう。大量消費社会からの転換を図り、常に何が環境に良いことかを考えながらお互い行動していくことが大切である。

このような企業活動の国際展開に伴い、生産・流通といった「動脈」でなく、リサイクルなど「静脈」の分野までが世界的な枠組みのなかで循環するようになってきた。

今後の自動車環境対策の実行にあたっては、われわれ一人ひとりの意識改革が重要となるからである。

環境への配慮なしに企業は生き残れない。その一方で、経済への配慮なしに、政府も有効な環境政策は打ち出せないはずである。「経済と環境の両立」なしでは「環境立国」は実現できない。



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