T.C.U.E. KAWABE Seminor

所沢ダイオキシン問題の現状と今後の展望

299-094 関 里美

ダイオキシンの毒性の恐ろしさは、既に周知の事実である。発がん性、催奇形性、死産・流産等、急性毒性と慢性毒性を併せ持つ脅威の毒物である。そのダイオキシンの発生の9割はゴミの焼却から生じる。このうちの80%余りが自治体の焼却場、残りのほとんどが産業廃棄物処分場の焼却場からである。

本稿では、平成11年2月にテレビ朝日系の番組「ニュースステーション」で全国に知らされた埼玉県所沢のダイオキシン問題について、その背景から現在までを調査し、行政と住民の意識の推移と取り組みを明らかにした。また、ニュースステーションが所沢産のほうれん草が高濃度で汚染されているという報道をしたために、所沢、さらには埼玉県中に莫大な損害が生じたことに対して、報道の内容は正しかったのかどうかを検討する。

元はただの雑木林だった「くぬぎ山」が「産廃銀座」と呼ばれるようになるまで放置した行政と、「産廃銀座」を作り上げ、大気や土壌を汚染してもなおゴミを捨て続ける業者たちは今後どうしてゆくのだろうか。住民たちは、自分たちの生活を守るために訴訟を起こして、少しずつ改善を試みている。行政と業者においても積極的行動が求められる。

最近は、所沢ダイオキシン問題について、メディアで取り上げられることが少なくなってきたが、それは、解決の方向に向かっているからではない。所沢周辺地域の住民たちは今も行政や業者たちと戦っている。今現在も素早いとはいえない行政の対応に住民たちの怒りがぶつかる。

だが、焼却炉を廃止しただけでは問題は全ては解決に至らない。焼却をやめてもゴミが放置されたり、高濃度のダイオキシンによる土壌汚染、重金属汚染水質汚染等、早急な浄化対策が求められる。行政は今までのようなずさんな管理体制を改め、一刻も早くダイオキシンを発生している「くぬぎ山」への対策を行う必要があることを本稿は明らかにした。現在、様々な企業が環境問題を考慮した製品作りに取り組んできている。ゴミ排出の削減やリサイクルによる、ゴミの減量化を目指す循環型社会を推進していくべきである。その為には、企業単位だけではなく、個人単位での環境問題への取り組みが必要である。



Valid HTML 4.01! Valid CSS!
(c) 2004-2006 T.C.U.E. KAWABE Seminar.