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環境保全型農業への取り組みの事例とその課題

299-091 鈴木 久美子

20世紀後半における様々な農業技術の進歩により、農作物生産量は飛躍的に増えた。これは、化学肥料や農薬を大量に使い、機械化・単作化・化学化・大規模化実現した農業革新であった。このような中、新たな難題が発生した。それは農業における環境破壊、環境汚染問題である。化学肥料や、農薬の過剰な使用による地下水・河川・湖沼・海洋の汚染や自然界の生活秩序への悪影響、農薬による人や家畜への被害などが無視できないほどにまで拡大した。また、同じ作物の連作による地力の低下、新たな病害虫の出現による強力な農薬の使用などがやむを得なくなるような状況が発生し、生産経費などの増加により、農業者の経営面にも悪影響が出ている。

近年、これらのことへの反省から、環境負荷の軽減に配慮した農業=環境保全型農業に対する意識が国際的に高まり、わが国では農林水産省に環境保全型農業推進本部が設置され(平成6年)、農業者だけでなく消費者や流通関係者など国民各層への働きが行われている。

その動きの一つに、平成7年度から開催されている全国規模の環境保全型農業推進コンクールというものがある。そのコンクール受賞作品を検討したところ、環境保全型農業の技術は各々の土地条件や昨目により適正に取捨選択される必要があることがわかった。また、一般的によく取り入れられる手法はあるものの、それをそのまま取り入れることはあまりなく、その土地独自の工夫が施されていた。そして、その取り組みを色々な手段(交流会など)によって、周りの人に打ち出していくことなしに取り組みの持続・拡大は難しいということがわかった。

環境保全型農業への取り組みはまだまだ始まったばかりであるが、農業者・技術者そして私たちの意識改革という根本的な面から変えていかなければならない。それらのことを考慮すると、環境保全型農業の抱える課題は多く、その普及にはまだ時間がかかるであろう。



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