T.C.U.E. KAWABE Seminor

企業の環境経営戦略としての環境マネジメントシステムの導入

299-053 小池 裕美子

地球環境悪化が進む中、1992年のブラジルでの地球サミットでは、持続可能な発展を目指すリオ宣言と行動計画のアジェンダ21が採択された。これを機に、持続可能な発展への取り組みが地球規模で行われるようになった。日本でも、この趣旨を受け、1993年に環境基本法が制定され、今日では、グリーン購入法、家電リサイクル法、食品廃棄物リサイクル法など循環型社会構築に向ける法律が次々に成立している。現在、国内の環境対策は、より多くの市民、企業、行政を組み込んだ枠組み作りが基調となりつつある。

このような状況で、さまざまな対応を求められると考えられる企業は、環境への対応を進めないかぎりその活動を続けることはできなくなくなるであろう。そこで企業は、どのように環境経営に取り組めばよいのか、また利益を考える企業としては、コスト負担の問題についてはどう対処していくのか、という問題を検討しなければならない。

そこで、環境経営の土台となる環境マネジメントシステム導入が有効となってくる。環境マネジメントシステムは、すべての組織や企業のあり方を環境面から捉え、基本理念、行動計画を明確にし、その環境方針に基づいて経営管理を行うシステムである。その国際的に認められたものが、ISO14001で現在多くの企業で導入が進められている。

その中で、電気機器業界の大手企業である松下電器グループとソニー株式会社を例に環境マネジメントシステムについて分析した。分析の結果、コストと環境保全効果の比較では赤字傾向にあったが、環境保全には効果があるとわかった。また、企業イメージの向上や、営業活動、社内環境教育の面でメリットがあり全体としては企業の活性化にも貢献することが明らかになった。

しかし、システムが構築されただけであるため、運用における体制作りや監査、教育が欠かせない。また、経費面での柔軟性も必要であり、自社の得意領域や政策可能領域を把握し、自社の特性を生かしつつ効率よい環境活動に取り組むことが望ましい。



Valid HTML 4.01! Valid CSS!
(c) 2004-2006 T.C.U.E. KAWABE Seminar.