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環境にやさしい農業のための有用微生物利用の現状

299-006 新井 ひとみ

環境にやさしい農業の技術には、減農薬栽培、アイガモ農法、紙マルチや有用微生物の活用などがあるが、特に本論文では有用微生物を利用した有機農法について研究を行った。

有用微生物を活用する利点は、有機物の分解の促進、連作障害抑止、地力増進の3つである。有機物の分解が促進されることによって、農作物がより早く養分を吸収することが可能になる。連作障害を抑止できれば、農薬の散布量を減少させることができる。そして地力が増進すれば、農作物の収量が増えることになる。このような利点が多くあるにもかかわらず、有用微生物はあまり利用されておらず、農薬に頼っている。その原因を検討するのが本研究の目的である。

有用微生物を利用した農業を行なっている農家のホームページによると、独自に肥料や土壌を研究し、誇りを持って自然を感じながら農業をしていることがわかる。

現在の有用微生物の研究では、家畜だけでなく、犬などのペットの糞尿にも消臭・発酵できることがわかった。他にも、生ごみ処理、池や沼の浄化、トイレの消臭、汚泥の消臭・発酵剤などにも利用され始め、土着菌が地域の環境浄化に必要な存在として位置づけられつつある。鹿児島県曾於郡末吉町では、畜産農家に有用菌を供給し、家畜生産現場から悪臭を消し、地域住民との関係を改善するとともに家畜のストレスをも軽減して生産性を向上させようとしている。さらに、有用菌の入った無臭の堆肥をセンターで回収し、完熟堆肥を地域へ供給して、有機農産物を生産する仕組みをつくり上げつつある。

農薬の危険性については、現在、農薬の登録申請に必要な安全性評価試験は厳しくなっているが、人体や土壌、また水質への影響を否定することはできない。しかも、無農薬栽培と表示され、農薬登録された資材を使っていない栽培であっても、人体に有害な物質が使用されていないとは限らない。自然物由来の資材であっても、毒性・発ガン性物質が含まれるものもあるからである。



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