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日本における環境教育の取り組みと今後の課題

298-086 高原 恵

今日、環境問題は規模の面ではもちろん質の面においても刻一刻と深刻な状況へと向かっている。その中で、問題の根本的な原因を解明し、効果的な対処法を実践できる人材を育成するためには、あらゆる立場、年齢層の人々に質の高い環境教育が普及されるべきである。そこで本稿では、世界で求められている環境教育について考え、板橋区を参考に、環境教育先進国といわれるドイツと比較し、日本における環境教育の取り組みの現状と今後の課題について考察した。

1972年に開催されたストックホルム会議により環境教育の必要性は世界的に認識されるようになった。そして、その後のベオグラード会議、トビリシ会議により提唱された環境教育を推進する際の基本方針は、今なお、高く評価され学校教育、社会教育などでカリキュラムを検討する時の基本理念とされている。

その理念を軸に、ドイツでは、学校・企業・自治体等あらゆる場で主体的・自立的に環境教育が行われており、その担い手は主に市民団体(環境NGO)である。市民団体といえど、各団体には、専門的な知識や経験を持つ人材を有しており、国家や自治体、住民にとっても信頼できる存在であり、多大な影響を与えている。

現在、日本においても、学校現場や自治体を中心とした社会教育の場の中で、環境教育の重要性が強調され、その内容は以前に比べ、充実しつつある。板橋区では、環境学習拠点としてエコポリスセンターを開設するなど意欲的に取り組んでいる。しかし、世界で求められるレベルには程遠く、単なるしつけの問題や理科、社会科的な知識を習得する段階で終わってしまい、問題の根元である現代の産業構造や、私たちの大量消費型の生活様式そのものを変革するための行動には至ってない。

今後、刻々と変化する環境問題に対応し、環境教育を効果的に推進していくためには、環境NGOの活性化、教員の研修制度の強化、教育関連法等の整備などの課題を克服していかなければならない。



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