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ゴミの排出量削減に対する
ゴミ有料化の効果の需要曲線モデルによる検証

298-077 杉原 正幸

大量生産・大量消費・大量廃棄によりゴミ問題が深刻化している。そこで、ゴミの減量化対策の1つとして、ゴミ処理の有料化が注目されている。

現在ゴミの有料化は、各自治体の判断によって行われている。そこで、ゴミの有料化とゴミの排出量がどのような関係があるのかを考えるために、需要曲線を用いた最適化分析法が有効である。最適分析法には、(1)需要の価格弾性力、(2)ゴミの有料化によるゴミの最適排出量の観点から考える。

(1)の結果、需要の価格弾性力の絶対値が1より大きい場合、ゴミ処理に射する需要曲線の勾配が小さくなり、有料化によるゴミの減量化効果が大きいこと示すことになる。

(2)の結果、ゴミの有料化により住民はどのようにゴミの排出量を決定するかについては、住民は限界効用と価格が等しくなるように排出量を決めると考えることができる。

(1)(2)の結果より、ゴミの有料化がゴミを削減できることを理論的に証明することができ、また、ゴミの有料化の中でゴミの排出量の価格設定が大きく成功の影響を与えることがわかった。

ゴミの排出量を規定する要因は、地域の特性、制度、住民意識の3つの領域から考えることができる。そのため、ゴミ処理有料化を効果的に実施するためには、(1)有料化を行う目的の明確化、(2)価格設定の根拠、(3)地域性の重視、(4)不法投棄への対応、(5)長期的な計画が必要である。

ここで自治体におけるゴミ有料化までの流れと問題点を指摘したい。自治体のゴミの有料化までの流れは、第1に行政によるごみの有料化についての企画、第2にゴミの有料化に対して研究者や住民との意見交換、第3に議会による決議、第4に告示、第5に実施というものである。

ゴミの有料化の問題点としては、(1)行政中心の政策、(2)告示してから実施するまでの期間が短い、(3)既存の制度、(4)不法投棄などが挙げられる。

以上のことを踏まえて、野木町のゴミの有料化を検討した結果、ゴミの削減のために導入したゴミの有料化はゴミの排出料金が低額であるため、ゴミの減量効果が現れていないと判断された。したがって、ゴミ有料化はゴミの抑制ではなく生ゴミのサイクルを効率よく行うため導入したと考えられる。

ゴミの減量化に対してゴミの有料化の効果は確認できたが、ゴミの減量化に一番影響を与えるのは自治体によって設定されるゴミの排出料金である。次に、ゴミの有料化に対する自治体と住民の取組みであり、生ゴミの堆肥化はゴミの減少にはほとんど寄与しないことがわかった。すなわち、本研究から、ゴミの有料化によってゴミを減少させるためには、なるべく早い段階でその地域の特性を調査し適正価格を設定することがゴミの減少に大きな効果があるということを示すことができた。



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