T.C.U.E. KAWABE Seminor

特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)の効果と課題

297-095 関口 栄輝

1991年にリサイクル法を制定してから日本ではリサイクルという手段で廃棄物の問題に取り組んでいる。2001年4月に施行される家電リサイクル法では、消費者、小売業者、製造業者に本格的に責任分担を課している。廃家電製品が一般廃棄物に占める割合は僅か1%であるが、大型であり再生できる有価物が多く含まれていることがこの法律が成立した理由である。廃家電製品の処理に関して従来は自治体が主体的に行ってきたが、家電リサイクル法により民間にその担当が移ると,新たなビジネスチャンスが生じ、物流、装置の設備投資、再生素材の売買などに大きな市場が発生することになる。この市場の規模を予測することで、家電リサイクル法施行による経済効果を推測することができる。つまり市場の活性化の可能性、将来的な家電リサイクル法のシステムの維持、リサイクル自体の発展等を推測することが可能になる。

この推測のためには、2001年の廃家電製品の排出予測や再生資源の売却先、そしてコストについてのデータが必要であるが、このような予測データはほとんど存在しない。本稿作成のため、ようやく国立国会図書館においての「家電リサイクルビジネスの現状分析と将来展望」を入手することができた。この調査を実施した神鋼リサーチの試算によると家電リサイクルの市場は、物流、設備投資、再生素材の売却などから、739億円とされている。これは一般廃棄物処理の市場から比べると3倍のパフォーマンスを持っていることになる。

コストの償却のために、相当量の廃家電製品を安定してリサイクル施設に供給できなければならない。現在の段階では不法投棄やリユース市場の発達、廃家電製品の排出や既存のインフラの地域格差といった問題から、その回収量の予測、推移の予測が困難である。この問題を解決するためには、社会全体で廃家電製品のリサイクルに取り組むシステムであることを周知させ、理解を求めること、地域間企業事業者間で連携すること、そして市場への新規参入を促すために規制緩和を行うことが必要である。

リサイクルが、環境問題を解決する重要な手段であることを忘れてはならない。循環型社会の構築に向けて、柔軟にその達成を目指すシステムとして機能させていくべきである。



Valid HTML 4.01! Valid CSS!
(c) 2004-2006 T.C.U.E. KAWABE Seminar.