T.C.U.E. KAWABE Seminor

新環境エンジンの環境に与える影響とその果たす役割

296-170 渡辺 崇樹

近年非常に重要視されている「地球温暖化」の対策にはCO2の削減が不可欠である。CO2の発生源としてかなりの割合を占める自動車は、我々の生活に欠かすことのできないものであるが、環境に与える影響は大きい。そこで、CO2削減を大きく左右する自動車のエンジンについて詳細に検討する。

現在実用化されている低公害(新環境)エンジンのうち、現在主流のGDIエンジンとハイブリッドエンジンについては燃費や有害排出物質最の比較を、近い将来活躍が期待される天然ガスエンジンについては現状と将来の展望を検討した。

大気汚染につながる主な有害排出物質は、CO2、HC、NOxの3種類である。従来のエンジンと、各新環境エンジンの排出量の比較を行ったところ、GDIエンジンは CO2約35%、HC・NOx約85%の削減、ハイブリッドエンジンはCO2約50%、HC・NOx約90%の削減、天然ガスエンジンはCO2約35%、HC・NOxは排出量ほぼゼロというレべルまで削減した。

現在のところ、CO2削減に最も有効な手段は燃費の低減であると各自動車メーカーは考えており、各新環境エンジンは約30~50%程度の燃費低減を実現している。ただし、メーカー発表の燃費や有害排出物質の数値が実際の使用環境において示されるかどうかは疑問である。そこで、自動車雑誌に掲載されたユーザーの報告レポートをもとに、メーカー発表の燃費とユーザーの燃費を比較・検討した。その結果、メーカーとユーザーの燃費の数値に開きがあった。GDIエンジンのメーカー発表値が15.0km/lであるのに対してユーザー平均値が10.9km/l、ハイブリッドエンジンのメーカー発表値が28.0km/lであるのに対してユーザー平均値が19.8km/lである。何れもメーカー発表値と比較して約30%低い値しか示されていない。つまり、有害排出物質量も同様にメーカー発表値ほどの値は示さないということになる。

ユーザーの使用環境に合わせたデータの測定がメーカーの今後の課題であり、それが、ユーザーとメーカーが一体となった地球環境への取り組みにつながると私は考える。



Valid XHTML 1.0! Valid CSS!
(c) 2004-2006 T.C.U.E. KAWABE Seminar.