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マレーシアの熱帯雨林の伐採

296-176 劉 麗燕

人類の森林に対する破壊行為と、大量の化石燃料の消費によって大気中の二酸化炭素の濃度が急速に上昇し、温室効果ガスの大気中の蓄積によって地球温暖化が起こっている。二酸化炭素を吸収する森林は、先進国の大量消費、大量廃棄型社会における木材需要の増加、そして途上国の人口増大による森林への農地や放牧地の無秩序な拡大、新炭材の収集などによって激減している。

1960年代のフイリピン、70年代のインドネシア、また80年代のマレーシアにおいては、短期的利益しか眼中にない木材産業によって無計画な過剰伐採がおこなわれ、森林生態系に相当の被害が生じた。

マレーシアは世界最大級の湿潤熱帯林を有し、フタバガキ材やマングローブ林、湿地林などの熱帯多雨林に好適な条件を備えている。しかし、1965年からゴムにかわって、油やしのプランテーションが拡大され、低地熱帯多雨林が広範囲に消滅した。マレーシアの林産業は1960年代になって本格的に成立した。フタバガキ科の木が巨木すぎて伐採や搬出、加工が容易ではなかったため利用が遅れていたが、チェーンソーやトラクターのような動力機械が利用可能になったため、べニア合板としての利用が急増した。また、日本をはじめとする海外市場で大量の木材が必要でされたことやマレーシアの社会経済発展のため外貨が必要となったことも木材資源の利用につながった。

現在、マレーシアは世界一の木材輸出国であり、そのほとんどが、サラワクの熱帯林から伐リ出されている。なお、輪入国の世界一は日本である。サラワクの熱帯林はこの20年に3分の1に伐採され、10年後に完全に消失すると言われている。

熱帯林問題は林業だけではなく、他の第一次産業とも深く関連した地域開発問題である。熱帯林を傷めつけず、そこで生活する人々にも犠牲を強いないで、地域社会の全構成員が豊かに生活できるような条件を整えることが重要である。



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