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地方自治体における資源リサイクルの現状と課題

296-108 堤 あゆみ

近年、ごみをめぐる問題は深刻化を増し、日本だけではなく世界的な規模での環境保全と資源の有効利用を図ることが求められている。リサイクルは、ごみ問題の一つの解決策であり、年々注目を浴びるようになっている。そこで、リサイクルの対象となるごみにはどんなものがあり、それらがどういった用途に再利用されるか、また、地方自治体はリサイクルにどう関わっているのかを知ることを目的として、ごみの有料化などの問題点に着目し、諸外国の取り組みも参考にしながら、今後のリサイクルの在り方について検討した。

リサイクルとは、社会経済活動の中において不要になったものをごみとするのではなく、再使用したり資源として再利用することにより繰り返し活用し循環させることをいう。廃棄物の収集や処理は地方公共団体の固有事務であり、一般ごみの回収は新聞紙などの紙類が回収しやすく、次にびん類、缶などの金属類になっている。1997年4月から施行された「容器包装リサイクル法」は、自治体、消費者、事業者の役割分担を決め新しいリサイクルシステムを目指したものであるが、事業者の責任が軽いなどの問題を抱えている。自治体は減量化と費用削減という点でごみの有料化に注目しているが、実施においては企業や住民の同意が重要であり、情報を積極的に開示するなどして納得を得る必要がある。デポジット制度は、使用済み飲料容器などのごみを減少させ再資源化する事を目的としている有効な政策であるが、日本ではその実施が難しいとされている。一方ドイツでは、分別収集から再資源化まで全て事業者の責任で行われており、容器包装だけでなく廃家電製品や廃車も事業者が回収、リサイクルされるような制度を整えることを目的としている。

リサイクルに対する意識は地方自治体を始め消費者、事業者の間で確実に定着しつつある。リサイクルが有効に機能するためには、三者がそれぞれの役割を果たし、かつお互いの動向にも常に気を配っていかなければならない。そしてそこから生じる様々な問題点を少しでも解決していけるように意欲的に取り組み、理想とする資源循環社会に近づいていくことが望まれる。



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