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水道水の汚染と水ビジネスの現状

296-099 田中 郁子

世界一おいしいと言われていた日本の水であるが、現在の水道水は赤水や細菌・カビの混入というように生で飲むことができない。このような現状を知り、安全でおいしい水について調べてみようと思い、この論文を書くことにした。日本の水が悪化した背景と現状を振り返り、今注目されている水ビジネスについてまとめた。

昔はきれいであった日本の飲水だが、厚生省の「おいしい水研究会」によれば、異臭味による被害人口数は年間約2000万人弱に上っている。また発癌物質であるトリハロメタンは、水道水1リットル中に0.05~0.1ミリグラム程度含まれている。

おいしい水に関係する蒸発残留物・硬度・遊離炭酸、そして水の味を悪くする過マンガン酸カリウム消費量・臭気度・残留塩素から判断すると、日本にはまだおいしい水が残っている。しかしながら、仙台・京葉・京阪・瀬戸内海沿岸・北九州地区ではまずい水が多いという結果が「おいしい水研究会」によって報告されている。水道水がまずくなった理由としては、水道水源の汚染、浄化処理法の変更、ビル・マンションの増加をあげることができる。

このように、水道水への不信感が高まるなか、ミネラルウォーターと浄水器が注目を集めている。だが、名前だけで実は細菌やカビの入ったミネラルウオーターや日本水道協会による型式審査基準が発表されても浄水器の規格を統一しただけで、どのような物質がどの程度とれるのか、その効果の持続可能期間まで説明しているメーカーは皆無であり、カートリッジをきちんと替えないとさらに汚染された水が出てくるというように両者とも問題がある。現在、活性炭のほかにハイテク技術を応用した中空糸膜を取り入れた浄水器が開発され、市民の自衛手段と認められるようになってきてはいるが、やはり水ビジネスもまた信頼できず問題点の多い商品が多いのだ。これらをきちんと見抜ける力を消費者ももつべきであるし、そういった商品を出さないよう企業側も努力していかなければならない。

水道水の汚染の主な原因である水源をすぐに100%きれいにすることは難しい。重要視される水ビジネスもまた未成熟であるが、さらに発展させて自衛対策を取っていかねばならない。しかしながら、水道水の安全はやはり水道水源の清浄化にあるため水源を汚染から守るということが根本的解決法であろう。



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