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ドイツとの比較によるわが国のダイオキシン汚染対策

296-095 高村 かんな

ダイオキシンは、強い発ガン性や催奇形性、免疫毒性など数多くの恐ろしい毒性を併せ持っている物質である。有機塩素系化合物であるダイオキシンは、塩素を含有した廃棄物を不完全燃焼させると発生し、その多くは一般ゴミ焼却施設から排出されるものであり、日本では今も大量に発生している。また、その原因物質である塩素化合物を含んだプラスチック類は、形成加工が容易であり、価格が安いために日本で大量に生産・使用されたのである。

「世界一のダイオキシン汚染大国」である日本と、世界で最も環境汚染対策が進んでいるといわれるドイツのダイオキシン対策を比較した。日本は、他の先進諸国より遥かに遅れてダイオキシンの「耐容1日摂取量」を設定した「廃棄物焼却大国」である。それに対してドイツは、ダイオキシンに絡む大事件やゴミ焼却場から発生するダイオキシンの健康被害を教訓として、何十年も前からダイオキシン問題に取り組み、廃棄物法制を整備・実施してきた。廃棄物について日本では、リサイクル法はあるものの未だ徹底されておらず、ごみの焼却量が増加している。これに対して、ドイツはゴミの分別・リサイクルを徹底し、さらにデポジット制度を導入してゴミの減量をすすめている。また、ダイオキシンの発生については、日本が焼却炉を整備し、発生段階で防ぐという対策をとっているのに対して、ドイツは塩化ビニールの規制・焼却禁止などダイオキシンの発生を元から断つという対策である。国民の環境に対する意識についても、住民運動や自治体の対応に突き動かされて政府がようやく対策を立て始めた日本と、政府がすすんで環境対策に乗り出し、環境教育もすすんでいるドイツでは大きく異なる。

世界的にみて廃棄物行政の模範を作り上げたドイツの循環型社会についてダイオキシン対策やリサイクル法などを調べ、これから日本がとるべき対策や、現在実施している対策の問題点を検討した。その結果、高性能のゴミ焼却炉を整備して時代に逆行したゴミ焼却を推進するのではなく、焼却すればダイオキシンが発生する塩化ビニールの生産抑制や焼却を早急に禁止するべきであると指摘した。



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