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学校ビオトープを取り入れた環境教育について

296-036 大竹 裕見子

産業革命以来の産業の発展や急激な科学技術の進歩は、人々の生活に物質的な豊かさをもたらしてきたけれども、他方ではその発展が地球環境汚染を引き起こした。それには人間の活動が大きく関与しており、地球環境汚染を改善するためには人間の意識を変える必要がある。人間の意識を変えるには大人の考え方を変えるだけではなく、豊かな感受性を持つ子供の頃からの意識を変える必要がある。環境への感受性を豊かにするためには、自然の環境の中で直接体験が重要であることは多くの研究で明確にされている。しかし、住宅開発などにより身近な場所に自然環境が減少している。そこで、生態系を復元する場としてのビオトープを教育に取り入れることが重要となる。つまり、子供たちの自然体験の場として学校ビオトープを取り入れることが必要なのである。

環境教育に対する意識を調べるために埼玉県生態系保護協会により埼玉県内の全小学校に対して行なわれたアンケートの結果を使用して、環境教育の現状を検討した。環境教育には関心があるが、実際取り組まれていないという教員が全体の1/3を占め、その理由として取り組みかたが分からないことや教材不足や予算不足などと回答があった。他に、環境教育の題材として自然環境を取り入れたいという答えが多数あった。つまり、環境教育に自然を取り入れたいが、方法が分からず、環境教育が取り組まれていないのが現状である。

環境教育の取り組みは遅れているが、環境教育に取り組んでいる事例がある。ビオトープを取り入れた環境教育を実践している3校の事例を比較して、ビオトープの実践が困難な主要理由である、場所の確保や資金の調達の問題を中心に検討した。横浜市立下永谷小学校では、水泳学習が行われていない期間にとんぼの産卵やヤゴの観察の場としてプールを利用している。横浜市立平沼小学校では校地が狭いため、屋上を利用している。神戸市立鹿の子台小学校では地元企業がビオトープ池を作るためのビニールシートを無償提供し、地域ネットワークによりビオトープが作られている。この3校のように工夫をすれば子供たちが自然を体験できるような学校ビオトープを取り入れることが可能である。



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