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持続可能な環境と観光

202-801 枝廣 幸恵

近年、環境に対する意識が高まり、持続可能性が重視されるようになった。観光も例外ではなく、サステイナブル・ツーリズム(持続可能観光)が注目され、エコツーリズムがブームになっている。しかし、全てのエコツーリズムが持続可能な観光であるとは限らず、エコツーリズムを商標登録するような観光業者も存在し、実際には、持続可能性とかけはなれた利益追求型のものもある。逆に、大衆観光の全てが自然破壊を伴うわけではない。エコツーリズムが、一時的な流行になり、ブームで終わることのないように、持続可能な観光のために必要なことや取り組み方について検討した。

持続可能な観光において、その観光の資源となるのは環境資源である。しかし、環境資源は観光化によって破壊される可能性がある。観光によって貴重な資源が損なわれることがないよう、適切な管理に基づく保護・保全をはかる必要がある。地域資源の保全によって、地域経済活性化の波及効果が高まることが持続可能な観光につながる。その大きな取り組みのひとつ、エコツーリズムでは、旅行者に魅力的な地域資源とのふれあいの機会が永続的に提供され、地域の暮らしが安定し、資源が守られる。観光には多様な社会的・文化的意味が包摂されており、そのなかの一つに教育的意味がある。自然や歴史的遺跡などのように自生の魅力をもつ観光資源が対象となる教育観光がこれからの時代に必要不可欠のものとなる。

新しい観光の形態や考え方は未だ発展途中である。エコツーリズムは以前から行われていたが、認知されるようになったのは最近である。一時的な流行に終わることなく本来の目的、つまりエコロジーに配慮したものにしなければならない。本論文は環境に配慮し、地域の活性化も担った新しい持続可能な観光の可能性を、実際のエコツアーに参加し、近年の観光業界の状況を検討することによって明らかにしていくことを目的としている。



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