T.C.U.E. KAWABE Seminor

生分解性プラスチックの現状と普及
―容器包装リサイクル法の効果―

202-035 大木 晶正

プラスチック製品の発展は私たちの生活を豊かにしてきた。しかし、それは化石資源の大量使用を引き起こし、様々な環境問題を生じさせた。

現在、注目を集めているプラスチックは、自然界で分解し、環境負荷の小さい生分解性プラスチックである。生分解性プラスチックは微生物産生系、天然物系、化学合成系の三種類のタイプに分けられ、原料は石油を原料とするものと植物等バイオマスを原料とするものがある。

従来は価格や物性の点で汎用プラスチックと差があり、普及は進まなかった生分解性プラスチックが、開発の進展により問題は解決の方向に向かっている。現状では、生分解性プラスチックの普及は大きく進んでいないが、普及のための施策は行われている。普及の進まない原因を、ドイツのカッセルプロジェクトと国内の施策を比較することにより検討した。その結果、カッセルプロジェクトは、日常生活の中で生分解性プラスチックを使用するという、生分解性プラスチックの消費者にとって身近な内容であったのに対し、国内の施策は中央省庁や万博という特別な場での実験であり、消費者が実際の使用を想定しがたいという違いがあることがわかった。この結果から、生分解性プラスチック普及のためには、生分解性プラスチックの消費者である一般市民が、生分解性プラスチックを生活の中で実際に使用するような施策が必要と考えられる。

生分解性プラスチック普及団体の、生分解性プラスチック研究会や財団法人バイオインダストリー協会では、生分解性プラスチック普及の新たな展開は、容器包装リサイクル法での扱いが変わることであると指摘している。この指摘のように、容器包装リサイクル法が生分解性プラスチックの普及に効果があるのかどうかについて、消費者と事業者の立場から検討を行った。

その結果、消費者にとっては分別を通して認知度を向上させることができ、事業者にとっては再商品化コストの低減による使用拡大の可能性が高く、普及への効果は期待できると考えられる。



Valid XHTML 1.0! Valid CSS!
(c) 2004-2006 T.C.U.E. KAWABE Seminar.