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日本とツバルの海面上昇による地域生活への影響

201-032 岡田 浩徳

地球温暖化の影響により海面上昇が引き起こされた結果、南太平洋諸国の人々は、土地喪失による不安と恐怖で心配な日々を過ごしている。本論文では、日本と南太平洋諸国の国であるツバルについて海面上昇による地域住民の生活影響について論じる。

海面上昇による海面水位の影響は、IPCCの報告書によると、最大で6メートル上昇するという見解が出されており、地球上の陸地の大半が海の底に沈むと予想されている。

標高の極端に低い島国としてツバルをとりあげる。ツバルは南太平洋諸国の1つであり、国土の面積は23平方キロメートル、人口は約1万人にすぎない。この小さな島国が今世界的な注目を集めており、「天国に一番近い島」と呼ばれている。その理由はツバルが近い将来水没してなくなってしまうからである。消失によって島ごと国ごと地域の伝統や、文化の全てが消えてしまう。海面上昇の結果、ツバルは内部からの洪水と外からの海岸侵食を経験している。海水が地下淡水層へ浸入し、ツバル国民の生活基盤をなしている農業や海員養成学校が壊滅的な打撃を被った。ツバル伝統の自給自足経済が崩壊し、新しい現金経済に適応できない人たちは失業に陥り、貧困や、栄養失調に苦しんでいる。海面上昇はすでにこれらの問題をツバルに与えている。ツバルの人々は、その結果、海外移住を余儀なくされた。

日本は、四方を海に囲まれた島国である。しかしツバルとは違い標高はかなり高く、6メートルの海水面上昇によっても日本が消えてしまう事はない。ただし、大都市の多くは海沿いの低地帯にあることは留意しておく必要がある。幸い日本の土壌は、ツバルのように海水が地下水から浸食してくることがないので、強固な防護壁の建設によって、海水の浸入はおおむね防ぐことができる。しかし、今後海面が上昇し続ければ、防護壁の長さを延長し続けなければならなくなり、何兆円というコストがかかることになる。

本論文の目的は、ツバルの厳しい現状を明らかにし、海面上昇の危機について充分な認識を持つ必要性を示すことである。



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