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燃料電池自動車の普及に対する取り組みと今後の課題

299-074 佐々木 陽一

近年、新しい低公害車として、燃料電池自動車の存在がクローズアップされてきている。燃料電池自動車は水素を直接燃料とする限り、一切温室効果ガスが発生しない無公害車であるという大きなメリットがある。しかし現在のところ、燃料電池自動車の普及にはまだ時間がかかると言われている。そこで本稿では燃料電池自動車と他の低公害車を比較し、燃料電池自動車の現状を把握した上で、普及に対する取り組みと今後の課題について考察した。

燃料電池自動車開発は、現在自動車メーカー各社が最先端の研究として取り組んでいる為、企業秘密の部分がほとんどで、詳細なデータの入手はほぼ不可能な状態であった。その中で現在市販されている数少ない燃料電池自動車の一つである「トヨタFCHV」の緒元が公開されていたので、他の低公害車との比較に利用した。その結果、問題として浮き彫りになったのは、インフラ整備と、コスト面での問題であった。

インフラ整備の問題は、他の低公害車の多くも同様に解決の難しい問題であるが、燃料電池自動車の場合は、水素を直接燃料として利用する他にも、メタノールや天然ガス、ガソリンを改質して水素を取り出すことが出来る為、他の低公害車よりは柔軟に対応することが可能であることが分かった。コスト面の問題は、燃料電池スタックが学習効果(量産化)によりどの程度コストダウンが可能か、政府が定めた普及目標を達成できるという前提のもとで分析してみたところ、将来的にはガソリンエンジンのコストと比べても遜色無いレベルまでコストが下がることが分かった。

現在、低公害車として最も普及する可能性が高いのは、ハイブリット自動車である。しかし燃料である石油の可採年数はあと40年とも言われており、長期的な視野で見れば石油以外のエネルギー利用の方向性を模索していく必要があるのは明らかである。燃料電池自動車はこのようなエネルギー過渡期においても、代替エネルギーを広く利用することが出来るので、量産化が進めば次世代の低公害車として普及する可能性は高いと考えられる。



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