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エネルギー利用の変遷と太陽光発電・太陽熱利用
-群馬県の電力・熱源エネルギーの期待可採量の検討-

297-187 李 継堯

人類が活動を続けるためには、エネルギーが不可欠であり、人類は500万年の進化の中で7回のエネルギー革命を経験した。それは(1)火の利用、(2)農耕の開始、(3)鉄の生産、(4)火薬、(5)石炭、(6)石油、(7)原子力ヘと次々に新エネルギー源を見出すものであった。この中で、火薬と原子力を除けばいずれも太陽エネルギーに由来するものであり、人類の生活を支える重要な基盤となってきた。しかし、今世紀の急速な産業社会の発達と人口の増加によって世界のエネルギー使用量は指数関数的に増大し、その結果、環境破壊や資源枯渇が今日の国際的な問題となっている。現在のエネルギー供給の多くを占める化石燃料は太陽エネルギーを固定した生物由来のものであり、今後も、太陽エネルギーの利用を発展させることが必要である。特に太陽エネルギーを直接的にエネルギーに転換する太陽光発電及び太陽熱利用の進展が最重要課題となっている。

日本において、太陽光発電の実用化は第1次石油危機を契機として、その推進のための国家プロジェクトが発足し、1980年頃からは太陽電池の小型電卓への実用化が図られ、一般の生活への浸透が始まった。次に、第2次石油危機の中で、太陽光発電は広範な実用化が目前に迫ったという期待が盛り上がったが、実際は大きな進展には至らなかった。実用化のためには、技術開発が進み、普及への期待が高まることが必要だが、経済性をはじめとして様々な課題が残されている。

日本における太陽光発電の現況は明らかになったが、具体化のためには地域レベルでの分析が必要と考えて、群馬県をとりあげることにした。群馬県の気侯は全国的に見て、比較的日射時間が長く、太陽エネルギーの利用に適している。群馬県における新エネルギーとしての期待可採量は電力源としては、太陽光発電が59%と高く、また、熱源としても、エネルギー利用や安定性から見て、太陽熱が最も有効とされる。群馬県内の10地域で見ると期待可採量には地域差が認められる。太陽光発電および太陽熱とも太田・館林、高崎・安中、前橋で高い値を示した。なお、太陽光発電の導入としては、群馬県営上武ゴルフ場と公社総合ビルの建設に合わせて群馬県の企業局が設置した太陽光発電設備があげられる。導入実績はまだ少ないものの、群馬県における太陽光発電について、将来のエネルギーとしての普及の可能性は高いと予想される。

これからの社会においては、環境負荷の小さい太陽光発電や太陽熱利用を早く大量に普及することを急がなければならない。そのために、できるだけ多くの人々に太陽光発電と太陽熱利用への理解を深めることが必要である。



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