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中学校における情報教育の現状と課題
-Eメール・郵送アンケート併用による3地域調査-

296-096 滝沢 誠

コンピュータとインターネットの急激な発展に伴い、教育機関にも「情報教育」の充実が求められている。政府は情報教育において、(1)小学校では身近な道具にする、(2)中学校では主体的に活用する道具にする、(3)高等学校ではより高度に活用できるようにする、という段階的な目標を掲げ、産官学の積極的な取り組みも見られるようになってきた。しかし、情報教育を進めていくことへの不安や疑問の声もあがっているが、このような声は情報教育に対する期待のためにかき消されてしまい、大きな問題として取り上げられることが少なかった。

文部省による都道府県単位でのアンケート調査では、情報教育に地域格差のあることが明らかになっている。そこで、より小さな単位での地域比較および学校比較を行うことを目標に、福島、群馬、東京の3地域においてアンケート調査をした。

アンケートは中学校を対象に、福島9校、群馬9校、東京10校の計28校に対して、Eメールまたは郵送による方法で行った。事前に電話連絡をとり、パソコンからEメールの送付に了解を得た学校にはその方法で行い、そうでない学校へは文書で郵送した。調査結果から、都道府県レベルの分析からは見ることのできない、地域内での格差を知ることができる。政府による目標が定まっていても、各教科での指導方法に関しては明確に規定されておらず、そのため学校間でも情報教育への取り組みには大きな違いが認められた。

今後の情報教育の課題としては、(1)予算、(2)学校・教育委員会などの情報教育を行う側の認識、(3)生徒たちの情報教育に向かう姿勢の3つの問題点が明らかになった。

今回の調査結果によって、コンピュータとインターネットの教育を実桟する現場の学校の重要な資料を得ることができた。まだ始まったばかりの情報教育では、目先の問題にとらわれがちで、どの「情報」を教えるべきかは難しい問題である。将来を予測することは難しいが、だからこそ情報を的確に読み取り判断する技術が大切であり、教える側の意識の向上が必要である。



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