卒業生への御言葉プロジェクトX (卒業論文集 第2号より) 2001年3月

2001年3月,ここに2期生を送り出そうとしている。私にとっては1期生の時と比べて思い出多い学年であった。初めて野外巡検に片品・利根村まで出かけ,途中,椎坂峠では片品川に展開する河岸段丘を眺めながら,ゴルフボールを思いっきり打っている皆の姿も記憶に新しい。帰り道では吹き割れ滝まで足を伸ばした。その様子をデジカメで撮影し,研究室のホームページに掲載できたことも2期生のお陰である。

昨年からNHKで始まった番組に“プロジェクトX”がある。様々な日本のプロジェクトが紹介されていく。大きなプロジェクトもあれば,小さなものまで多種多様であるが,それを見る度に,日本も捨てたものではないなと実感し,番組の最後に少し涙が出るのである。中島みゆきの挿入歌がそうさせるのかもしれない。番組の始めは「地上の星」という曲でプロジェクトの始まりを力強く予感させ,終わりを「ヘッドライト・テールライト」という曲でプロジェクトの達成を静かに締めくくってくれる。私は決して全体主義者ではない。というよりも個人主義者に近い性格であり,反骨精神は人一倍強い方であろう。したがって,人に何かを強制されることは好まないし,まして他人にそれをすることは性に合わない。しかし,この番組を見て教えられることは数多くあった。それは一言でいうと,一つの目標に向かい様々な困難を克服するために,皆が知恵を出し合い,努力し,成し遂げることの素晴らしさである。

その意味で,2期生全員で取り組んだ高崎市中心市街地活性化のアンケート集計・分析のプロジェクトが私にとって良い思い出となっている。ゼミ生が平等にデータ入力・集計を担当し,研究室で夜遅くまでスクリーンを前にして図表を作り,アンケート意見を集約した。最後は缶詰状態でピザやカレーの出前を頼むまでになった。今でもスチールの本棚に貼ってあるファーストフードのメニューを見ると,その時の様子が懐かしく思い出される。生きるか死ぬかかといったプロジェクトではなかったかもしれないが,それ以後,ゼミ生同士の結束は傍目からみても高まったと思う。一つの目標に向かって時間を共有することの重要さを知らされた。どうせ取り組むなら一生懸命,出来る限りといった雰囲気が感じられた。このプロジェクトを経験できたことは私も含めて何かが残ったのではないかという気がする。

これから2期生はそれぞれの道を力強く歩んで行くことと思うが,つまづきそうになったらあのプロジェクトを思い出し,流行りの携帯でお互いにメールでも交換してほしい。きっと力が湧いてくると思う。

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