卒業生への御言葉提灯灯台と時の鐘(卒業論文集 第15号より)2014年3月

15期生は北海道、山形、茨城、群馬(3)、千葉、神奈川、新潟、静岡、マレーシア、中国出身の12名であった。マレーシア出身のC君は東日本大震災後に本国に帰った後の復学、中国のO君は他ゼミからの移籍であり、当初は多様なゼミ生の構成に不安を感じていた。しかし、卒業した14期生との合同調査などの経験があったせいか、城下町に焦点を当てた巡検の企画や卒論作成のための白馬合宿、台湾への卒業旅行など、次々に企画を実行するエネルギッシュな学年となった。  まず、3年生の演習Tの締めくくりとして、神奈川県の小田原に高崎からJR湘南新宿ラインで出かけた。単に城下町を歩くのであれば小田原駅下車になるところ、早川駅で下車し小田原港を探索した。そこで思いがけない発見をした。駅の案内図に見慣れない色と形の灯台があることに気がついた。早速、皆で見に行ったところ提灯灯台と名付けられ、公園の一角から遠くの提灯灯台をつり下げた構図で写真が撮れるスポットが見つかった。私の関心が新たなランドマークの発見とその意味(ミーニング)を考えることであり、心動かされるものとなった。すなわち、東海道の箱根峠を越える旅人に必要な小田原提灯、それを港を出入りする船に対する灯台に転化する設置者の感性、それをつり下げて写真を撮れるようにスポットを設けたアイデアなど、とても関心した。ちなみに、写真の構図に関してはイタリア・ピサの斜塔でも同様の体験をした。ピサでは傾いた塔を観光客が手で支えるような構図で写真を撮るのである。なお、小田原駅でKさんを乗せることなく帰りの列車は発車した。携帯電話で確認がとれ一安心。携帯電話の便利さを痛感した。  6月に実施された川越巡検に関しては、私から一つ提案した。それはJRの八高線を利用することであった。各地から集まるゼミ生に速さや効率だけではない体験をして欲しかった。高崎からディーゼル列車の振動を感じながら埼玉県の寄居で東武線に乗り換え、川越へというルートであった。町歩きの最中、時の鐘付近で雨が降り始め、川越本丸御殿に着く頃には本降りとなり思いがけず庭を眺めての雨宿りとなった。言うまでもなく、時の鐘は川越のシンボルであり、多くの観光客が訪れており、観光要素溢れる小江戸川越を改めて感じることができた。再び歩き始めて喜多院に着くと晴れ間が覗くなど、梅雨の気まぐれな天気を感じつつの巡検となった。  9月にはゼミ合宿で白馬に出かけた。卒業論文のテーマや内容を確認することがメイン・テーマであり、熱気溢れる発表が続いた。そのため夕食のバーベキューは肌寒さを感じつつ開始されたが、豊富な食材に囲まれ和気藹々と思い出に残る一時となった。  このように、ゼミ生と共に時間を共有し新たな発見・経験を積むことができたことに感謝したい。ゼミ活動を糧としてこれから社会人として活躍し、より良い人生を歩むことができるよう祈念したい。

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