卒業生への御言葉東京スカイツリー開業前後のゼミ活動(卒業論文集 第14号より)2013年3月

14期生は青森、茨城(3)、栃木、群馬(4)、新潟、長野、三重出身の12名であった。 恒例の高崎巡検を皮切りに、東京巡検(浅草、東京スカイツリー:建設中)、鎌倉・江ノ島巡検、深谷巡検(三期合同)、長野・白馬巡検が行われた。

 それぞれ思い出深いものだったが、東京巡検は東京メトロの浅草駅で地下鉄建設の歴史を学び、浅草(雷門・浅草寺)の江戸情緒に浸り、建設中の東京スカイツリーの周辺を ほぼすべての方向から観察した。ランドマーク研究に関わる者として、隅田川に架かる浅草吾妻橋から見るアサヒグループ本社ビルと“炎のオブジェ”、東京スカイツリーの構図は日本を代表する景観になると確信した。昼食は“スカイツリー丼”を注文するゼミ生がおり、大きなエビの天ぷらの屹立によってスカイツリーの構造を間接的に理解できた.....。

 休憩のため立ち寄ったアサヒグループ本社ビルから眺める隅田川、浅草寺、東京スカイツリーの眺めは“鳥の目(鳥瞰)”であり、この巡検を通じて景観把握の基本である仰瞰・俯瞰の重要性が理解でき、“江戸から東京”へといった時代変化を縮図として確認できる貴重なものとなった。ゼミ生もこれからの人生の中で、東京スカイツリーを目にすればこの巡検が思い出されることだろう。昼食時にビールを注文したゼミ生とともに、記憶に刷り込まれるランドマークのミーニング(意味)が理解される瞬間でもあった。

 鎌倉・江ノ島巡検はゼミ活動の神髄を感じるものであった。コース設定から利用する交通手段と切符の選定、昼食・夕食場所の予約など、ツアー・プランニングの仕事に就いても十分勤まる見事さだった。二月中旬の鎌倉は肌寒さと春の気配が混ざり合い、歴史的都市と観光、江ノ島電鉄や湘南モノレール江の島線の役割などが理解できた。江ノ島ではランドマークとしての江の島展望灯台から360゚を見渡し、湘南の海や藤沢や茅ヶ崎を遠望できた。夕食の海鮮丼は新鮮さ・ボリューム感ともに大満足であり、“るるぶる(見る・食べる・遊ぶ・調べる”の二つ目の“る”が理解できた。

 この年、新たなゼミ活動の機会を得た。それは、埼玉県の深谷市やNPOの関係者が立ち上げたインターネット上のサイト“フカペディア”であった。最初は何のことか理解できなかったが、深谷版“ウィキペディア”と説明され、そのアイデアに驚かされた。我がゼミも何らかの形で関わってみたいと考え、14・15・16(新ゼミ予定)期生が参加することになった。本学の大学院修了生が担当者(深谷市職員)であったことも幸いし、30名を超えるゼミ生達が“七夕まつり”真っ盛りの深谷に出かけ、イメージづくりに励んだ。レンガ・タイルの深谷駅、渋沢栄一、ふっかちゃんと続き、昼食は深谷ネギたっぷりの“煮ぼうとう”を食した。また、“七夕まつり”会場に設けられたサテライトからラジオ中継にゼミ長が出演したことも思い出に残る出来事であった。

 以上のように、思い出は尽きない。大学生活の一部として位置づけられるゼミ活動は、それに関わってくれる人達の情熱によるものと実感できた。ご多幸を。

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