卒業生への御言葉門出を祝して(卒業論文集 第1号より) 2000年3月

1996年4月に地域政策学部が発足して四年が過ぎようとしている。私自身も期待に胸をふくらませて学生時代から二十数年間生活した京都から高崎に移り住み入学式に臨んだ。入学式の日は音楽センター周辺の桜も咲き,自宅から会場までの道を心地よく歩いたのも記憶に残っている。

こうして高経での生活が始まったが,最初の二年間は学年進行と同時に講義科目が増えていくことになっており,演習が始まったのは三年目であった。1期生の演習ということで何かと難しさもあったが,ようやく卒業生を送り出すことができたのは感慨深いものがある。

私にとってゼミとは一つの社会であり,一人一人がゼミの諸活動を通じてこれからの人生を歩む基盤を造って欲しいという希望がある。少ない人数ではあるが,個性と個性のぶつかり合いの中で自分を知り,お互いが成長していくという図式が望ましいものと考えている。したがって,教師の立場からすると‘場’を提供し皆の姿を見守りたいというのが本音である。もちろん自分自身も成長していきたいとの希望もある。私の研究室が一つのサロンのようになり,調査・研究や議論を通じてお互いの交流がはかれればと願っていた。残念ながらコンピュータ関係の機器がようやく揃ってきたところで,1期生はあまり恩恵が受けられなかったかもしれない。また,地域調査も全員で出かける機会がほとんどなく,ゼミの目標を達成できなかったのは申し訳なく思っている。しかし,1期生が築いてくれた道筋はしっかりと2期生・3期生が引き継いでくれると思う。手探りでゼミ運営に当たってくれた1期生には感謝したい。

最後に自分の人生訓の一つを1期生に送ることで結びとしたい。いつも言うことだが,‘一生懸命’と‘一所懸命’を送りたい。私の尊敬する先生の一人が大学院の講義の最後に話してくださった中で「私は一生(一所)懸命な人を尊敬します」とおっしゃった言葉が忘れられない。その先生を一言で表現すると,クリスチャンのせいかもしれないが衒(てらい)が感じられない。スーッと心の中に入ってきた。自分自身に置き換えてみて,何事にも一生(一所)懸命に取り組むのは難しいことは理解しているつもりだが,‘気’を発揮して少しでもその域達したいと思っている。

これから1期生は実社会に出て様々な方面で活躍することになる訳だが,恐らく順風満帆という人生は稀であろう。荒波をいかに乗り越えるのかは個人差があろうが,楽しい人生を送れるようにと願いつつ門出を祝したい。

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