数学および統計学入門者のための書籍紹介

数学予備知識が少ない学生が勉強するという観点から参考書を紹介します。

数学

微分, 積分を勉強したい人

高校で使う教科書は,授業で使うことを目的として作られているため,必要以上に深入りはせず,しかし大事なことは書いてあります。
また誤植もほとんどありませんので,1変数の微分,積分を勉強したい人に対してはお勧めできます。尚、書店には置いてありませんが,注文をすれば買うことができます。
数学の教科書としては数研出版東京書籍などがよく知られています。

これは高校の教科書と比べるとやや高度な内容(偏微分,重積分,テイラー展開)も含まれています。しかし極限(lim),1次元の微分,積分から丁寧に説明されていますので,
じっくり読めば力になります。W大学のある附属高校での使用実績あり。


統計学(初心者向け)

マンガだからといって侮っていけないのが,この本。標本平均,標本分散,相関係数にはじまり,正規分布などもしっかり書いてあり,しかも分かり易い。

ホーエルの名著。数式は必要最小限にとどめて,文章や図を用いて統計の概念を説明しています。微分,積分の予備知識も必要ありません。
文系にとってはいいかもしれないが,理系で数学が得意な人にはかえってしつこいと感じるかも。
SILSの教科書で,標本分散(sample variance)と言うと, n-1で割る方を意味していますが,
日本で標本分散というと,標本数nで割る方を意味します。
しかしこの本で,sample varianceは前者に対応してますので,SILSの学生が勉強する本としては,いいかもしれません。
尚,相関係数(corelation)はpp.194-196と離れたところに書いてあるのでご注意を。


数理統計学

書籍名 著者 出版社 難易度 行列 多変数関数の偏微分 重積分 重積分における変数変換 テーラー展開 備考
入門数理統計学 P.G.ホーエル (著),浅井 晃 (翻訳),村上 正康 (翻訳) 培風館 1 2変数関数の変数変換の仕方はp.360に書いてある。
統計学入門 東京大学出版会 2 2変数関数の変数変換の仕方はp.151に書いてある。タイトルは統計学入門と書いてあるが、一般の学生にとっては数理統計学の部類に入るであろう。
数理統計学 鈴木武,山田作太郎 内田老鶴圃 3 漸近理論は扱っていないが、標準的な内容が書かれている。
入門・演習 数理統計 野田一雄,宮岡悦良 共立出版 4 難易度4の中では,最も易しい。勉強をし始めたときは重宝しました。
確率と統計の基礎T,U 宿久洋,村上亨,原恭彦 ミネルヴァ書房 4 n変数関数の変数変換の仕方はpp.212-213に書いてある。ラドン・ニコディムの導関数も扱っており本格的な内容となっている。
数理統計学 稲垣宣生 裳華房 4 上記の内容に加えて,対立仮説の下での漸近分布を扱っているのがうれしい。ただし数学的厳密さにかけている点は好き嫌いがわかれるところ。



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