HIDの普及
2013.5.24 110-319 田中 和輝
最近、対向車やバックミラー越しの後続車のライトが、以前のような黄色がかったライトではなく、とても明るい白色のライトになっているのをよく目にする。これは、ディスチャージヘッドランプ(HIDや、キセノンヘッドランプなどとも呼ばれる)と呼ばれるものである。従来のハロゲンライトに比べ「省電力」「長寿命」「高範囲拡散」「ファッション性」などの利点があり、現在では軽自動車から高級車まで様々な自動車に採用されてきている。私の乗っている自動車も純正でディスチャージヘッドランプになっており、実際に夜間に運転するときに、非常に明るく高範囲を照らしてくれるため、安全運転に一役買ってくれている装備の一つである。最初からどのグレードでも装備されている車種や、オプションで用意されている車種など、装備の有無は車種によって異なるものの、仮に設定がない車種でもカー用品店などで後付けすることもできる。
利点も多いディスチャージヘッドランプであるが、欠点もある。一般的に言われるのが、光の安定する速度である。一般的なハロゲンランプと比べ、ディスチャージヘッドランプは色温度の高い色から明るい色へと変化するのに若干の時間がかかってしまう。この影響もあり、ディスチャージヘッドランプはパッシング等で瞬時な動きを要するハイビームには適さない。とはいえ、ライトが明るくなるのを停車して待たなくてはいけないほどの暗さではない。夜間、車を家から出すときにも、エンジンをかけライトをつけたらそのまますぐ出かけられるくらいの明るさにはなっている。よって、個人的に私の車ではこの欠点はあまり感じられない。
次にあげられるのが、後付けのディスチャージヘッドランプの問題である。前述もしたとおり、現在ではディーラー純正品だけでなく、さまざまなメーカーから選ぶことのできるディスチャージヘッドランプであるが、中には安全性よりもファッション性を重視した色温度のとても高い製品が売っていたり、装備の際に光軸がうまく調整されていなかったりといった問題がある。一般的に、車検での色温度の条件は多少の差異があるものの6000K程度と言われている。これを超えた製品は青白すぎる光となり、かえってハロゲンライトに比べて視認性が低くなってしまうことなどから、車検には通らない。しかしながら、ファッション性や趣味性を重視したドライバーが、色温度の高い製品を選んで装着しているケースも少なくない。また、ハイビームのように明るいロービームを浴びせてくる対向車もたまに目にするが、あれはハイビームを解除するのを忘れている以外に、後付けのディスチャージヘッドランプの光軸がずれていることがあげられる。これは、ドライバー自身が運転しにくいだけでなく、対向車にも悪影響をあたえることから、後付けをする際には信頼できる専門店に装着をしてもらうべきであると思う。
いくつかの注意点はあるものの、実際に利用している身からすると、もう二度とハロゲンランプには戻れないと感じる。純正品もしくは車検に適した製品や正しい装着をして、安全運転の手助けとなるようにさらにディスチャージヘッドランプが普及していくとよいと思う。