隣人関係 その2

                      2012年6月22日110-196小松瞭太

 

隣人関係の報酬と負担

 ほかの人間関係と比較すると隣人関係で得られるものはすくないように思える。隣人は友人や親族と比べるとかなり距離を置いた存在である。交流は頻繁にあるが、親密になるとは限らない。個人的な話をじっくり話すこともなく、互いに距離をおき、ある一定の関係を保っている。しかしその関係の中で得られるものは多い。得られるものはすくないように思えるが、実際に得られるものは多い。隣人との交流をうまくかつ頻繁に行うことは幸せと身体的、精神的健康を得られるとされる。この効果の強さは友人や家族、親族から得られる効果よりも弱いものとされている。しかし隣人関係においても効果は弱いが友人や家族から得られるものと同等の効果が得られる。隣人関係を充実させることは幸福を増加させることにつながる。

 隣人関係は当たり障りがない関係であるが、負担も強いられる。当然その負担は様々である。ほかの隣人同士の噂話であったり、子供の評判がある。また隣人に助けを望んでいる一方で、隣人には負い目を感じたくなく、助けを求められたくないと感じる。

隣人関係で得られる報酬は幸福と心身の健康であり、負担は微妙な距離感におけるわずらわしさである。

 

隣人関係のルール

 隣人関係にもルールがあり12個のルールが認められている。

@    緊急時には援助する

A    隣人のプライバシーを尊重する

B    騒音などの行動に気を使う

C    外で会ったときは挨拶する

D    境界を越えて侵入しない

E    互いに知り合えるように努力する

などのル−ルが存在している。この12個のうち6個のルールから隣人関係に求められているものがわかる。

 互いに距離を保ちつつもお互いが困ったときは助け合い、過度な迷惑はかけない。この関係が大半の隣人関係にあてはまる。この関係が負担にもなる一方で幸福などにもつながる。

隣人同士の活動

 隣人同士の活動は4つある。おしゃべり、秩序維持、相互扶助や団体活動などがある。

おしゃべりについては女の人同士でなされており、雑談などである。秩序の維持は相互の騒音防止やペットの問題などを協力して解決することや、自警団をつくり防犯をすることなどがあげられる。相互扶助は互いに子供の面倒を見たり、ものの貸し借りをするなどがあげられる。この相互扶助が隣人関係の中でもっとも重要な部分とされている。

 相互扶助は隣人関係の負担と報酬の両方の意味合いを持つ厄介な活動に思える。

 

参考文献

M・アーガイル M・ヘンダーソン著 吉森護編訳(1992)『人間関係のルールとスキル』

北大路書房