中東 その4 プラント用設備、海運      6/7

                          110-065  浦上竜太郎

 

・プラント用設備、酉島製作所、トーヨーカネツ

酉島製作所(本社・大阪府高槻市、東証一部)は、2012年度連結売上高約450億円、海外売上高比率約60%となっている。ポンプで世界シェア40%の実力を持ち、その中でもプラント用大型ポンプに強みがある。もともと、国内官公需向けの事業が主戦場となっていたが、政府の経費削減で売上高が悪化し、経常利益も減少していた。それゆえ、現状から脱するためにも、以前は国内官公需向けが半数を占めていた割合を30%まで落とし、その一方で世界90か国にポンプを売り、海外の売り上げを高めていった。

そのような状況下で、酉島製作所は、例えば、サウジアラビアには、日揮が獲得した25年間の発電・造水事業向け海水淡水化ポンプを、カタールにも同様に海水淡水化ポンプを、また、ドーハ市内向けには水処理用ポンプなどに納入している。

 

 トーヨーカネツ(本社・東京、東証一部)は、2007年度売上高498億円、海外売上高比率32%となっている。主な事業としては、機械プラント、建設、物流システム事業があり、また、物流システムは生協、空港向けが多い。中東地域では、機械プラント向けのタンクやLNG向けのタンクなど各種タンクの建設事業を行っている。また、マレーシアやインドネシアなど、東南アジアに対しても建設事業を行っている。例えば、イランやマレーシアに極低温タンク、カタールにガス貯蔵用タンクなどを建設している。

 

・海運事業、飯野海運

(ここでの海運は、中東で産出される原油や天然ガスを運行する立場とする。)

 

飯野海運は、原油、重油タンカーなどの不定期船が主体となっており、また、タンカー船の大半は中長期の契約となっており、市場変動を受けにくい結果となっている。(もう一つの事業は不動産分野となっているが、ここでは簡略化する。イイノビル、イイノホールなどが主なものである。)中東においては。中東から日本を中心に、世界各地に原油、重油、石油製品の輸送に当たっている。ケミカルタンカーという化学製品の運搬においては、業界トップシェアの実力を誇っている。

現状(参考資料参照)では、東南アジアやインドやパキスタンなどの新規顧客の獲得に成功し、黒字を成し遂げている。

 

参考:飯野海運3月期決算、外航海運事業が好調で黒字転換

http://response.jp/article/2013/05/03/197322.html

『激動するアジア経営戦略』 2009年初版 安積敏政著