中東その3 エンジニアリング 5/31
110-065 浦上竜太郎
1 エンジニアリング分野
主な企業として、千代田化工建設、日揮、および三井造船といった企業がある。
千代田化工建設は、三菱商事が筆頭株主となっている総合エンジニアリング大手であり、LNG(液化天然ガス)プラントを軸に、中近・東ロシア事業を展開している。2007年度のデータによると、中近東の売上高4260億円は連結売上高の70.5%を占めている。また、ホームページを見てみると、カタール国の企業とサービス受注を受けたことが表記されており、その事業展開の強さを感じられる。
日揮は、独立系エンジニアリング大手であり、石油・石油化学、天然ガスのプラント建設が主力事業となっている。2004年以降の当社では、中東が海外売上高の最大の比率を占めている。その中では特にサウジアラビアとカタールの案件が目立ち、サウジアラビアでは石油関連のプラント事業を、カタールでは天然ガス系のプラント事業が立ち上げられている。
今年、2013年1月に日揮はアルジェリア人質拘束事件の被害を受けてはいるが、4月中旬には運転を再開していることを今月13日には明らかにはしている。しかしながら、事件の影響自体は「顧客と交渉中なので数字は控える」(佐藤副社長)として、明示しなかった。
三井造船は三井系重工業の中核会社となっており、2012年の売上高は5771億円の売上高となっている。これらは、船舶、機械、プラントなどで占めている。中東分野では、造船分野ではなくプラント事業が主なものとなっている。これには、三井化学などがプロセスを担当し、三井造船が設計や建設を担当するといった協力体制で行われている。例としては、2004年にイランでの高密度ポリエチレンプラント、また、プラント以外としては、2006年度にトルコでコンテナクレーンの受注などが行われている。
現在の三井造船では、造船部門の業績が苦戦(前年度は179億円の黒字であったが、今期は82億円の赤字を示している。)しているということもあり、一時期が川崎重工業との合併の噂もささやかれていたが、それに反する証言も出ており、真実は定かではない。
参考:
日揮、アルジェリアの工事再開 襲撃の施設は「話し合い中」
http://www.sankeibiz.jp/business/news/130514/bsc1305140701008-n1.htm
川崎重工・三井造船、統合効果に疑問の声も…狙いは海洋開発と造船事業分離か
http://biz-journal.jp/2013/05/post_2128.html
『激動するアジア経営戦略』 2009年初版 安積敏正著