業種別のアジアの収益 事例その8 輸送業編    12/21

                              110-065 浦上竜太郎

1 ロジスティクス業界(※ロジスティクスとは、サプライチェーンのための効率的なものの流れ、つまり物流の事)

 ロジスティクス業界は以下の5つに分類可能である。

陸運:JR各社、東急などの私鉄、日本通運や福山通運などの陸送会社

海運:日本郵船、商船三井、川崎汽船など

空運:国内外の乗客輸送と貨物輸送、主に日本航空や全日本空輸

倉庫:三菱倉庫、住友倉庫、三井倉庫など

運輸関連:湾岸運送や湾岸作業など

 ロジスティクス業界は、日本での輸送や運輸の伸びに限界があるとみて、海外拠点を拡充させようとしている。そのなかでも、「世界日通」とコマーシャルを出し、グローバルな物流に力を入れている日本通運に関して取り上げる。

2 会社概要

 日本通運は総合物流としての企業であり、陸運のみでなく空・海運での輸出入など国際複合輸入で実績がある。また、世界36か国に385もの拠点を持ち、グローバルロジスティクス企業としての名をあげている。日本通運の事業部としては、通常の運送事業部だけでなく、グローバルロジスティクス事業部や海外企画部など、海外専門の事業部を置いている。

3 インドにおける日本通運

 日本通運の中国やASEANの実績の例として、例えばSS7000などがある(SS7000とは上海からシンガポールまでの約7000kmのルートであり、中国からベトナム、ラオス、タイを経由し、シンガポールまで続く道のりとなる)。これに続き、1990年代以降外資の導入による経済成長が明らかなインドに対しても日本通運はさまざまな政策を実施している。インドには、2007年度にインドの航空・海運業務代理店である「JI Logistics Private Limited」の発行株式の約51%を取得し、社名変更後、インド日通(本社はバンガロール市)を設置した。その後、11都市に14拠点を置き、輸出入や航空・海運業、引っ越しサービスなどを行っている。このこともあり、日本通運はインドに進出している多くの日系企業の物流ニーズに対する体制をいち早く確立していることがわかる。

 また、そのような状況下であっても、更なるニーズに対するサービスを打ち出し続けている。例えば、2012103日には、今まで貨物を日本からシンガポール経由でインドに輸送されていたサービスを日本からインドに直通で輸送できるような海上混載サービスを開始した。

参考:インド日本通運の紹介

http://www.nittsu.co.jp/global/region-info/southasia-oceania/location/index.html

『激動するアジア経営戦略」 20009年初版 安積敏正著