業種別のアジアの収益 事例その5 機械編     11/30

                              110-065 浦上竜太郎

 機械産業では、建設機械、産業機械、工作機械、ボールベアリングなど広範囲にわたる。ここでは、工作機械においてアジアなどの海外事業に積極的な企業である牧野フライス製作所を取り上げる。工業機械では、機械を作り出す機会ということもあり、大中小型のプレスマシンから数値制御碁盤やマシニングセンター(MC)(※多種類の加工を行うためのマシーン)まで幅が広い。

・会社概要

 牧野フライス製作所は、1951年に設立された工作機械メーカーで、1966年にマシニングセンター国産第一号機を開発するなど、先端の工作機械に強みに発揮してきた。2011年度の連結売上高1104億円の事業構成は、マシニングセンターが約71%、放電加工機約6%、フライス盤約0.4%、その他約22%である。2012年度の連結売上高は、日本が約28%、アメリカが約23%、アジアが約39%となっている。また、自動車、IT、デジタル家電、建設機械などの好不況が同社の需要に大きな影響を与えている。

 

・シンガポール(インド、中国)中心のアジア展開

 上記の会社概要に示すように、牧野フライス製作所のアジアでの売上高は約39%という事もあり、強く依存している。牧野フライス製作所では、現在、アジアには中国、シンガポール、タイ、インドに子会社を置いている。ここではシンガポールを中心に分析する。

 シンガポールにあるMAKINO ASIA PTE LTDは、2008年の3月における従業員は1179名である。一方で、現在(2012年)における牧野フライス製作所の個別従業員数は約1400人ということもあり、本社に負けないほどの従業員数がいる。また、シンガポールには原材料・部品の調達、販売のためのMAKINO RESOURCE DEVELOPMENT PTE LTDと製造販売のためのPACIFIC PRECISION CASTING PTE LTDがある。このように、牧野フライス製作所では、シンガポールでの戦略に力を入れていた。その結果もあり、2007年度のシンガポールでの売上金288億円は、親会社の連結売上高1327億円の21.7%を占めている。

 シンガポールの進出に続き、2001年度には、MAKINO ASIA PTE LTDが出資して、インドのバンガロール市にMAKINO INDIA PRIVATE LIMITEDを設立した。参考の日刊工業新聞にあるように、インド・中国・シンガポールでの重要さが高まってきている。

参考:牧野フライス製作所 IRインフォメーション

http://www.makino.co.jp/jp/ir/0201.html

日刊工業新聞 2011620

牧野フライス、印・中・シンガポール拠点でMC月産能力を4割増

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0120110620baan.html

『激動するアジア経営戦略』 初版2009年 安積敏正