業種別のアジアの収益 製造業編 事例その1 自動車編 10/19
110-065 浦上竜太郎
今回から、製造業(自動車・電機・化学・機械・食料品)ならびに非製造業(小売り・輸送)のアジアでの収益に関して論ずる。
1 自動車
日本を代表する産業の一つに「輸送用機器」がある。2000年代に入っては、製造業で世界最強と言われたトヨタ自動車やホンダや日産などの完成車メーカーが中国、ブラジル、ロシア、インドなど新興国でその生産高や売上高を増加させた。それと同様に、完成車メーカーの躍動を支えてきた自動車部品メーカーの積極的な海外進出もある。今回は、アジアで事業を成し遂げた、軽自動車のスズキの例を分析する
2 スズキの例
・会社概要
スズキ(本社・静岡県浜松市)は、1920年に設立された。軽自動車に強みを発揮すると同時に二輪車でも強みを発揮している。ハンガリーやインド進出など積極的な海外進出を行っている。最近、インドでは暴動が発生したが、現在では売り上げは暴動以前に戻っていると報じられた。1
・海外売上高
図1
図を見ればわかるように、ここ10年間では海外の売上高は増加している。比率でみれば、1998年度が50%であったのに対し、07年度には72%まで上昇している。ここからわかるように、海外の売上高はスズキの成長の大きな要因となっている。
・地域別売上高(合計20.4千億円)
1998年度のスズキの売上高1兆4600億円は、日本と海外が半分ずつになっている。海外の内訳はハンガリーでの事業を含む欧州が22.2%であり、アジアはわずか8%にすぎなかった。一方、2007年度の売上高の3兆5000億円におけるアジアの比率は25%である。(売上高の増加分の2兆400億円におけるアジアの増分比率は37.7%となっている。日本は12.6%にすぎない。)
・過去から現在までのインド事業
2007年度におけるインドでのマルチスズキ・インディアの売上高は5136億円であり、親会社であるスズキの売上高の14.7%を占めている。また、当期純利益は510億円であり、連結純利益803億円の63.5%を占めている。
昨年度2011年度においては、タタ自動車や現代自動車の猛攻や労働争議の影響もあり、インドにおけるスズキのシェア率は35%まで下落した。しかし、参考にあるように売り上げが回復し、50%のシェアを再獲得することを目標としているニュースも出てきている。2
参考:1 日本経済新聞、スズキ、インド販売が回復 9月は前年同月比2ケタ増
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD010CT_R01C12A0TJ2000/
『激動するアジア経営戦略』2009年初版 安曇敏正著