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◆ストレスに強いパーソナリティ特性
ハーディネス(Kobasa, Maddi,
& Kahn, 1982)
高いストレスの下でも健康を保つ人が持つ特性。3つの要素から成る。
1)
コミットメント
何事に対しても自分自身を没頭させるような傾向。自分の生活に深く関与していると感じる傾向で、自分が誰であり、何をしているかについての信念であり、自分自身や仕事や家族、対人関係、社会組織などの人生の様々な状況に対して自分を充分に関わらせている傾向。
2)
挑戦性
変化が人生における常態であり、変化の予感は安全への脅威というよりもむしろ成長への興味深い誘因であるという信念。
3)
統制感
人生におけるさまざまな変化に直面したとき、自分自身がそれを統制しているのだと感じ、またそのように行動する傾向。個人が出来事の推移に対してある一定の範囲内で影響を及ぼす事ができると信じる。
ハーディネスの高い人は低い人に比べ、ストレスフルな出来事を経験してもそれを肯定的に認知し、自分でコントロールできるものであると考えることができる。
ハーディネスの高い人はストレス下における状況でも新造の弛緩期の血圧(diastolic blood pressure: DBP)が低く、その中でもタイプB行動をとる人が最もDBPが低かった。
タイプB(何事にも差し迫った感覚を持たず、仕事の時にも特に興奮することがない)
タイプA行動 (Friedman & Rosenman
1974)
まるで何かに駆り立てられているいかのような行動パターン。
背後にある心理的構え
1)
高い業績をあげることへの動機づけ
2)
時間に追われている感覚
3)
厳しく外部から要求されている感じ
4)
短気
5)
差し迫った危険を防ぐためにデザインされた脅迫的行動パターン
6)
強い競争心
◆効果的なストレスへの対処
1)仕事の見通しをはっきりさせる。
2)その見通しにしたがって自律的に仕事を行うことができればストレスの悪影響を抑制することができる。
ストレスに対しての接し方を変える。ストレスに対する認知スタイルを変える。
毎日の出来事を肯定的に認知し、自分でコントロール可能なものであると認知すること、そのような認知に具体的な行動(タイプB行動や健康維持のための行動)を伴わせることができるならばストレスの悪影響をより効果的に防ぐことが可能と考えられる。
支持的な社会的関係を持つことがストレスの緩和にとって大きな効果を持つ。
これはウェルネスサイクル(ストレスへの対処に成功したことをきっかけとして人間的な成長が果たされ、生活の質の向上へとつながる、という循環構造)のなかでも重要な要因とみなされている。
参考文献
南隆男/浦光博/角山剛/武田圭太『組織・職務と人間行動 効率と人間尊重との調和』
株式会社 ぎょうせい1995年
メンタルヘルス対策EAPのカウンセリングストリート
用語集http://counseling.st/hr/terms/terms349.html