10/21
◆職場におけるストレス2
(2)バーンアウト
燃え尽き症候群のこと。マスラック(Maslach 1976)は、「極度の身体疲労と感情の枯渇を主とする症候群」であるとした。
ソーシャルワーカー、心理療法士、カウンセラー、デイケアセンター職員、児童保護施設職員、精神病院スタッフ、看護士、教師 といった職業につく人々が、職業上のストレスの蓄積が原因となって身体的な健康、豊かな感情、誇り、思いやりなどの職業上最も強く要求されているはずの資質を失ってしまうような状態に陥ること。
原因
個人的要因
・共感的 ・人間的 ・繊細 ・献身的 ・理想的 などの志向の高さを持つ一方、
不安定、内向的、強迫的、熱狂的、他人と容易に同一化しやすい という特徴をもつ
その志向性の高さにより、時として現実とのギャップに気付かないまま理想に向けて突き進むという人物像。
環境的要因
1) 長時間にわたる仕事
2) 自立性を欠く仕事
3) 要求の多いクライアント
4) 相応に評価されない仕事
5) 測定しにくい仕事内容
6) 過度に要求される高い生産性
7) 不適切なジョブトレーニング
8) 上司の不適切なリーダーシップ
社会的要因
1) 仕事の特質の変化
従来の総合的・全体的な技術を要求される仕事から、現代のような断片的技術だけが要求される仕事への変化が、仕事に対する誇りや愛着を無意味なものにし、価値観や伝統が軽視されるという風潮を生みだした。
2) 専門職に対する認識の食い違い
一般に、専門職は自律性に富んだ職業であると考えられることが多いが、実際は専門職といえども大きな組織の中の歯車のひとつにすぎないことが多く、このような認識のギャップが専門職につく人々にむなしさを感じさせる原因のひとつになっている。
◆タイプA行動とバーンアウトに共通する特徴
タイプAによって生み出されるストレス状況と、バーンアウトが生じる状況との間にある共通点は、「過大な請負感」と「自律性の欠如」・・・自分がしたいものというより自分がしなければならないもの。このような感覚で過大な仕事を請け負ってしまうために、常に追い詰められ差し迫った強迫的な行動をとらざるを得なくなる。また、他者から与えられた仕事を追い詰められながら行い、その評価を他者に委ね、他者が評価してくれることによってはじめてよろこびを感じる。
このような傾向のパーソナリティは職場におけるストレスを発生させる要因のひとつであり、次回はストレスに強いパーソナリティ、さらにストレスへの対処の仕方を調べてみたい。
参考文献
南隆男/浦光博/角山剛/武田圭太『組織・職務と人間行動 効率と人間尊重との調和』
株式会社 ぎょうせい1995年