パーソナル・スペースの実験4 2011/6/11 沖 秀大
児童・生徒(小学4〜中学3)約904名を対象にして、友達との会話時にどのような距離をとるのか、さらにその場面でのコミュニケーションの内容・態度・感情を評定させることで、友人との関係を把握しようと試みた。
結果は、友人とのパーソナル・スペースを左右する統計的に有意な変数は、自己開示・親和得点であった。葛藤得点、同調得点はパーソナル・スペースを左右する変数ではなかった。一般的には、接近した会話距離をとる相手には、何でも話し安心できる。しかし、イライラ感を抱き、ケンカをする相手に対しても、必ずしも離れた距離をとるとは言えなかった。
また、葛藤得点と同調得点は正の相関が認められた。
そして、因子分析を基に友人に対する自己開示・親和性の軸と同調・葛藤の二次元軸上による4事象を区分し、交友関係のタイプを4つに分類している。
1.満足群(自己開示・親和性が高く、同調・葛藤が低い)…もっとも良好な友人関係を築いているケース
2.しがみつき群(自己開示・親和性が高く、同調・葛藤が高い)…親密な関係を求めているにもかかわらず、仲間との交友関係を保つのに情緒的に安定した気持ちになれていないケース
3.見切り独立群(自己開示・親和性が低く、同調・葛藤が低い)…親友といえる友人がいなくて強い疎外感を抱いているケース
4.同調ジレンマ群(自己開示・親和性が低く、同調・葛藤が高い)…あまり深入りしないように、仲間外れにならない程度につき合っているため、表面的には適応しているように見えるが、強いて仲間と会わせているため、気持ちが破綻する危険をはらんでいるケース
この結果、しがみつき群に男子15名、女子20名、同調ジレンマ群に男子42名、女子42名が該当していた。(ただし、自己開示・親和得点と同調・葛藤得点の中群をすべて排除し、高群・低群に該当する被験者のみをピックアップしてある。)
今川峰子 中部大学現代教育学部児童教育学科
http://ci.nii.ac.jp/els/110007176751.pdf?id=ART0009140991&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1307655975&cp=