パーソナル・スペース実験2 2011/5/27
109-107 沖 秀大
コミュニケーション能力とパーソナル・スペースの関連性 〜斎藤 ひとみ〜
目的
コミュニケーションに関わる個人特性とパーソナル・スペースに着目した検討を行う。コミュニケーションにおいて、人との間合いはとても重要であると考えられる。パーソナル・スペースは、人とコミュニケーションをとる時にどの程度距離を置くかを示す指標であり、コミュニケーションスキルが高い人と低い人では、違いがあると推測される。そこで、コミュニケーション能力を測る指標としてKiss-18を使用し、コミュニケーション能力の高低での違いを検討する。
また、普段から人と話すのが苦手であったり、初対面ではなかなか打ち解けられない人は、そうでない人と比べてパーソナル・スペースが広いのではないかということが考えられる。そこで、人とのコミュニケーションの際の不安感をとらえるために、特性シャイネス尺度を使用し、シャイネスの高低での違いを検討する。
なお、パーソナル・スペースの測定方法として、投影法での調査を行う。
方法
13〜60歳の25名に対して、心理指標とパーソナル・スペースに関する調査紙を配布し、回答を得た。
結果
Kiss-18と特性シャイネス尺度の比較
l Kiss-18の得点が低いと、特性シャイネス尺度の得点が高い人が多い。逆に、Kiss-18の得点が高いと、特性シャイネス尺度の得点が低い人が多い。
l 二つの得点について相関分析を行った結果、負の相関がみられる。
心理指標とパーソナル・スペースの距離の比較
l Kiss-18の得点が低く、特性シャイネス尺度の得点が高い人のパーソナル・スペースは、Kiss-18の得点が高く、特性シャイネス尺度の低い人に比べ広い。
考察
コミュニケーション能力の高い人ほどパーソナル・スペースは狭く、逆にコミュニケーション能力の低い人ほど広いという予想通りの結果だった。今回の論文でコミュニケーション能力との関係について興味がわいたので、次回もこれに関連することを調べていきたい。
<参考文献>
斎藤 ひとみ 愛知教育大学研究報告. 教育科学編 60, 197-203, 2011-03-01(2011/5/27)
http://repository.aichi-edu.ac.jp/dspace/bitstream/10424/3759/1/kenkyo60197203.pdf
Kiss-18
菊池(2004)によって作成された尺度で、社会的スキルを身につけている程度を測定する。各項目を1〜5の段階評価尺度により評価し、合計点が高いほど社会的スキル(この場合では対人関係を円滑に行うスキル)を身につけていることを表す。
(1) 他人と話していて、あまり会話がとぎれない方ですか
(2) 他人にやってもらいたいことを、うまく指示することができますか
(3) 他人を助けることを、上手にやれますか
(4) 相手が怒っているときに、うまくなだめることができますか
(5) 知らない人とでも、すぐに会話が始められますか
(6) 周りの人とでも、すぐに会話が始められますか
(7) 怖さや恐ろしさを感じたときに、それをすぐにうまく処理できますか
(8) 気まずいことがあった相手と、上手に和解できますか
(9) 仕事をするときに、何をどうやったらよいか決められますか
(10) 他人が話しているところに、気軽に参加できますか
(11) 相手から非難されたときにも、それをうまく片づけることができますか
(12) 仕事の上で、どこに問題があるかすぐに見つけられますか
(13) 自分の感情や気持ちを、素直に表現できますか
(14) あちこちから矛盾した話が伝わってきても、うまく処理できますか
(15) 初対面の人に、自己紹介が上手にできますか
(16) 何か失敗したときに、すぐに謝ることができますか
(17) 周りの人たちが自分とは違った考えをもっていても、うまくやっていけますか
(18) 仕事の目標を立てるのに、あまり困難を感じない方ですか
特性シャイネス尺度
相川・藤田(2005)によって作成された尺度で、人格特性としてのシャイネスを測定する。シャイネスとは人間関係において不安を感じ、人と接することを回避しようとしたりする傾向のことをいう。各項目を1〜5の段階評価尺度により評価し、合計点が高いほど、社会的不安という情動状態と対人的抑制という行動特徴を持ちやすいことを表す。なお、1,5,8,13,15番は逆転項目である。
(1) 新しい友達がすぐできる
(2) 人がいる所では気おくれしてしまう
(3) 引っ込み思案である
(4) 人の集まる所ではいつも、後ろの方に引っ込んでいる
(5) 人と広く付き合うのが好きである
(6) 他人の前では、気が散って考えがまとまらない
(7) 内気である
(8) 誰とでもよく話す
(9) 自分から進んで友達を作ることが少ない
(10) はにかみやである
(11) 初めての場面でも、すぐに打ち解けられる
(12) 人前に出ると気が動転してしまう
(13) 自分から話し始める方である
(14) 人目に立つようなことは好まない
(15) 知らない人とでも平気で話ができる
(16) 人前で話すのは気が引ける