パーソナル・スペースの測定法 2011/5/11

                            109-107 沖 秀大

 

 パーソナル・スペースは、実測による測定法と投影による測定法の二方向から、その大きさが調べられている。

 

1. 遠慮がちな観察によるもの…人の行動を写真に撮ったりビデオに記録したり、直接観察したりする方法。

 

2. 侵入実験…他人にどこまで接近できるか、あるいは、他人に接近されたとき、どのような行動をとるかを調べる方法。

 

3. 接近および非接近実験…接近実験では、目標者に向かって真っすぐ歩いて行き、「これ以上近づきたくない」「不快を感じる」位置で止まる。止まった位置をパーソナル・スペースの境界と考え、目標者の体を中心にして各方向から同様の実験を繰り返す。非接近実験では、他人に近付かれた人が「それ以上近づいてほしくない」「不快を感じる」位置を見つけ出し、それをパーソナル・スペースの境界とする方法である。

 

4.切り抜きの人物像や人形を使う方法…主に子供を対象に、子供(本人)と親、先生、友達(対象人物)の切り抜き像を使い、例えば「お母さんと話している場面を考えて自分の絵とお母さんの絵を紙に貼り付けてください」と指示し、パーソナル・スペースの境界を調べる方法。

 

5.紙と鉛筆による方法…回答用紙に人物像を描き、その体の中心から各方向に目盛りのついた直線を引いておき、「自分の体を中心にして、その周囲にどのくらいの空間を持っているか」と質問し、その大きさを距離の目盛りが書いてある用紙に記入してもらう。

 

 4,5のような投影法的な方法を用いると、ある場面を想定し、その時にいると思われるパーソナル・スペースの大きさを測定することができる。このようにして、いろいろな場面でのパーソナル・スペースを調べることができるが、現実のパーソナル・スペースと違う場合があり得るのが難点である。

 

参考文献

『人と人との快適距離 パーソナル・スペースとは何か』(1990)渋谷昌三 日本放送出版協会