(前回、パーソナル・スペースとは人の体を取り巻く泡のような空間で、人間関係をより円滑に行うために伸縮するような性質をもつ、と定義付けした。)つまり、パーソナル・スペースは、親しい人と見知らぬ人とではその大きさが違うといえる。
今回は、対人関係や役割関係、状況などに応じてパーソナル・スペースが変化することを確かめていきたい。(ようは実生活でパーソナル・スペースがどのように利用されているかということ)
四種類の距離帯
エドワード・ホールは、日常生活のなかで使われている距離帯が、大きく分けて四種類あることを見出した。さらに、それぞれの距離帯が近接相と遠方相に分けられるとしている
l 密接距離 ごく親しい人に許される空間
近接相(0〜15cm)
抱きしめられる距離。
遠方相(15〜45cm)
頭や腰、脚が簡単には触れあうことはないが、手を伸ばせば届く距離
l 個体距離 相手の表情が読み取れる距離
近接相(45〜75cm)
相手を捕まえられる距離
遠方相(75〜120cm)
両手が手を伸ばせば指先が触れあうことができる距離
l 社会距離 相手にはとどきづらいが、容易に会話ができる距離
近接相(1.2〜2m)
知らない人同士が会話をしたり、商談をする場合に用いられる距離
遠方相(2〜3.5m)
公式な商談で用いられる距離
l 公共距離 複数の相手が見渡せる空間
近接相(3.5〜7m)
二者の関係が個人的なものではなく、講演者と聴衆というような場合の距離
遠方相(7m以上)
一般人が社会的な要職にある人物と面会するような場合におかれる距離
つまり、人間関係とパーソナル・スペースのこの関係が理解できれば、より充実した人間関係を構築することができると考える。
[1] http://sinrigaku.choitoippuku.com/personalspace.htm
[1]渋谷昌三(1990)『人と人との快適距離』日本放送出版協会