混みあいにおける動物     2011/9/10      109-107沖 秀大

 

 

 

マルサスの『人口論』

 

 人口は制限されなければ等比数列的に増加するが、食糧は等差数列的に増加するため、食糧の供給量が人口の増加に追いつかない。そのため、飢餓や戦争、暴動がおこり貧困が避けられない。

  →食糧が不足すると人口が制限される。

 

混み合いの度合

 

 個体数が増えすぎるとネズミが海に飛び込んで集団自殺をはかる現象や、同じように個体数が増えすぎたアナウサギの大量死が何世紀にもわたって観察されている。

 この要因として、天敵(捕食者)の増加や食糧不足による餓死などが考えられるが、これらの動物で大規模な死がおこる際にはそのような兆候がみられなかった。

この要因として、哺乳類の個体数が増加するとストレスが高まり、内分泌系に影響が出るため個体群の崩壊につながると考えられた。この結果を裏付けるために、閉ざされた島で生きるニホンジカの個体数の研究が行われた。

 

シカが大量に突然死する直前は一エーカーあたりシカ一頭という密度で、三百頭以上いたシカが3ヶ月で半数に減り、二年で八十頭になり、それ以降は八十頭前後で安定した。(シカに必要な土地面積は4エーカー)

 大量突然死の要因は、ストレスによる副腎の過剰活動が考えられる。副腎は成長、生殖、体の防御力の調節に重要な役割を果たしており、動物がストレスにさらされると、副腎は機能亢進(こうしん)におちいって肥大する。大量死亡の後の牡鹿(ストレス死)は大量死亡前に比べ、平均で三四%も体重が重かった。

 また、極寒の後には大きな死亡の山がみられたため、ストレスの要因は個体数増加による混み合いだけでなく厳しい寒さも考えられる。

 

結論

 マルサスの人口論にはあてはまらないことがわかった。

上記のネズミ、ウサギ、シカの大量死はいずれも食糧不足や捕食者の増加が原因ではなく、個体数増加によるストレスが原因だったことから、互いの個体距離を侵すことは身体に多大なストレスをかけることが分かった。

 ただ、シカの死因がストレス死だったのかわからないことと、その時シカの攻撃性が増したかどうかということ、大量死亡の犠牲者の十分の九がメスと子ジカだったのもそれが原因なのかが疑問に残った。