ブラジル危機 2011/10/07 108-085 大野 瑛介
はじめに
前回の発表では、メキシコ危機について取り上げた。メキシコ危機では、IMFの迅速な対応により、被害を最小限に加えることができた。そして、緊急時の迅速な外貨流動性の確保が、通貨危機支援として有効であるとの結論がでた。
今回は、ブラジルで起こった通貨危機と、それに対するIMFの対応を見ることで、アジア危機に対する対応と比較していく。
ブラジル危機の概要
ブラジル危機はロシア危機が起こった1998年の11月に起こった。
ブラジル危機の要因は、ドルペック制をとっていた為、IT革命時のドル高により、割高に推移していたことが一つ、もう一つはロシア危機により大手金融機関LTCMが破綻したことで、アメリカ資本が新興国市場から撤退し始めたことである。
加えて、一次産品価格が低下したことで、経常収支赤字が拡大し、また、財務計画の信認が低下した為、1999年に通貨が大幅に下落した。
危機への対応
この危機に際し、国際機関は総額418億の大型支援パッケージを組みこんだ。IMFはそのうち183億ドルを負担した。その際の融資条件も緩やかなものであり、財政収支の改善にとどまっている。金利引き上げも緩やかに行われ、また、企業の対外借入が少なく、企業活動に大きな影響を与えなかったので、危機自体も軽度に収まった。
まとめ
多額の融資を緩やかな条件で取りつけることが、危機の解決に有効である。
また、外国からの借り入れを少なくすることが、国や企業の自衛にもなりうるとわかった。
参考文献
『IMF国際通貨基金 使命と誤算』(2008)太田英明 中公新書