新興市場経済1 2011/07/01
108-085 大野 瑛介
2004年のIMFの中期計画のひとつとして、新興市場経済(Emerging Market Economies: EME)に対する支援の強化が挙げられている。今回は、EMEに対するIMFの姿勢について考察する。
EMEの定義
EMEは厳密な定義を持つ用語ではない。また、IMFのさまざまな文書に示されたEMEの集合も一定ではない。
IMF自身は、低・中所得国の中で、近年に経済開発・開発プログラムを実施し、世界経済における重要なプレーヤーとして機能しつつある国々としている。
また、概ねアジア通貨危機において被害を受けた多くの国は、EMEとして定義されている。
EMEの問題点
IMFはEMEの資本移動に対する脆弱性を度々強調する。これは、EMEの国際収支危機は通貨危機や金融危機を伴う事例が多いことが原因であろう。
海外からの流入資金が突然枯渇したり流出に転じたりすることは先進国でもEMEでもおこりがちである。しかし、EMEはそのような資本移動の変調に際し通貨危機を伴う事例が皆無なのに対し、EMEでは約半数を占めている。
参考文献
『岐路に立つIMF』国宗浩三(2009) アジア経済研究所