ワシントン・コンセンサス 2011/06/10
はじめに
IMFの経済政策と政策理念を考えるときに、ワシントン・コンセンサスを無視することはできないであろう。ワシントン・コンセンサスはIMFや世界銀行といった新古典派経済学派の理論基盤である。
ワシントン・コンセンサスとは
ワシントン・コンセンサスは1989年にワシントンにある国際シンクタンク研究所職員であるジョン・ウィリアムスによって提言された、経済改革の最大公約数である。以下の10項目にまとめられる。
1. 財政赤字の縮小:財政赤字をインフレ税によらずにファイナンスできる範囲に抑える
2. 公共支出配分の見直し:社会収益性の高いものに公的資金を配分する
3. 租税改革
4. 金融自由化:市場による金利の決定
5. 為替レート改革:レートの統一と強制的な為替レート水準への調整
6. 貿易改革:数量輸入制限による保護から関税による保護への転換
7. 貿易自由化:海外直接投資を阻害する障壁の撤廃
8. 民営化:国営企業の民営化
9. 競争促進:企業の新規参入の促進
10. 財産権:私的財産権の確保
ワシントン・コンセンサスに対する批判
新古典派にすぎ、途上国の現実に合わないとする批判がある。中長期的にワシントン・コンセンサスの実現を目指すのはいいが、改革を一気に押しつけた1990年代のIMFに問題があったといえる。
参考文献
『岐路に立つIMF』(2009) 国宗浩三 アジア経済研究所