国内貯蓄率と国内投資 2011/05/13
108-085 大野 瑛介
途上国では外資に依存することは経済発展にほとんど寄与せず、むしろデメリットになり得ることを前回までの発表で取り上げた。今回は、本来途上国の経済発展に必要な要素について取り上げる。
Prasad et al(2007)は1970-2000年までの先進国・途上国を検証した結果、資本流入は途上国の経済発展に必ずしも寄与せず、むしろ外国資本に依存せず国内貯蓄による投資を主体とした国の方が長期的に経済発展する傾向があると指摘した。
途上国、新興国に限定し、32カ国にて資本流出入に伴う一人当たりの経済成長率、貯蓄率、投資率の影響について分析した結果、資本流入による経済成長に対する明確にポジティブな影響は見られなかった。
ただし、資本流入項目において、外国直接投資(FDI)は成長に正の相関を示した。外国直接投資とは、資産運用だけではなく、経営参加や技術提携を目的とする長期的な投資のことである。
反対に、証券投資は、成長率のみならず国内投資率・貯蓄率にマイナスの影響が見られた。
以上から、途上国は安易に資本自由化に踏み込まず、むしろ、国内資本の貯蓄率と投資率の増加に専念した方が良い。
参考資料
http://www2.rikkyo.ac.jp/web/abeyo97/HPkeisaiyou/12-c.pdf(閲覧日2011/05/13)
http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_3359.html(閲覧日2011/05/13)
参考文献
『IMF(国際通貨基金)使命と誤算』(2009)太田英明 中公新書