IMFの功罪2 2011/4/15
108−085大野 瑛介
インドネシアの場合
インドネシアの、IMFからの融資条件は非常に厳しいものであった。
プログラムに沿って、銀行の整理、リストラを短期間に実行した。しかし、小口預金者保護がされないまま取り付け騒ぎまで起こり、金融セクターの信用が大きく低下し、市場は一層不安定になった。
また、国営企業改革や民営化、民間債務対策といった中長期的な政策ばかりが優先され、危機の解決に必要な即効性のあるものではなかった。
さらに、経済状況が悪化する中での補助金の削減に国民の生活が困窮した。こうした社会的、経済的不安から、1998年スハルト大統領の退陣にまで及んだ。
IMFの対応の問題点として、第一に当初、本質的には短期の外貨流動性の危機であったにも関わらず、資本流出規制で対応すべきところを金利の引き上げで対処したことである。金利引き上げは逆に経済を悪化させた。しない場合に比べ成長率でマイナス4〜5%。為替レートで22%、物価で20%のネガティブな影響を与えたと推定されている。
第二に銀行よりも民間企業の対外債務が大きかったにも関わらず、銀行リストラを念頭に置いたこと。
第三に、インドネシアが産油国である事情を鑑みず、エネルギー価格を世界基準にまで引き上げたこと。これにより国民生活を一層困窮させた。
まとめ
以上からIMFの対応が非適切であり、一層の混乱を招いたことが言える。
資本収支危機であったアジア通貨危機は従来通りの対応では適さなかった。
参考文献
参考文献『IMF(国際通貨基金)使命と誤算』(2009)大田英明 中公新書