IMFとは何か?   2011/02/04 108-085 大野 瑛介

 はじめに

 

 アジア通貨危機におけるIMFの対応に関して、多くの批判が浴びせられた。今回の発表では、IMFの持つ役割について理解を深めることで、この問題の理解に役立てたい。

 

 金本位制 

 国際的な取引において、各国の為替レートは非常に重要である。例えば、10%の利益を生み出す取引を行うとする。その時突然為替レートが不利な方向に10%以上の大きさで変化してしまったなら、得られる利益は吹き飛んでしまい、企業活動に不要なリスクができることになる。

 そう考えると、世界の全ての国々が固定相場制を取り入れるのが望ましいとも考えられる。しかし、固定相場制を維持するには、仕組みが必要である。

 二十世紀初頭は、「金本位制」によって固定相場制を維持していた。各国が自国の通貨と金の交換比率を一定に保つことで、それぞれの通貨同士の交換比率も一定に保つのである。

 

 金本位制の崩壊と金ドル本位制

 1929年の世界恐慌により、多くの国が不況から脱しようと、為替切り下げ競争を始め、金本位制を放棄しはじめた。これにより、国際貿易は阻害され、植民地を持つ国々はブロック経済を進めることとなる。

 第二次世界大戦後、自由貿易をおこなうにあたり、為替レートの安定を図る必要に迫られた。しかし、金本位制を復活させようにも、多くの国々では金の準備が十分でなかった。そこで、米国が自国の通貨と金との交換比率を一定にし、そのほかの国は米国ドルとの為替レートを固定するという「金ドル本位制」を取り決めた。

 

 外貨の不足に備える

 経常収支が慢性的に赤字になる場合や黒字になる場合、外貨の需給が変化するため、為替レートの水準を変更する必要がある。一時的なものであれば、為替介入を行うことで一定に保つことができる。しかし、慢性的なものになると外貨が不足してしまうからだ。

 だが、あまりに頻繁に為替が変化しては固定相場制である意味がない。そこで、一時的な経常収支の赤字に対応するために当該国の外貨準備が不足するという場合に、外貨を融通しあう仕組みができた。それがIMFである。

 

参考文献

『アジア通貨危機と金融危機から学ぶ』(2001)国胸浩三 アジア経済研究所