インドネシアの財政構造    2010/10/21  108-085 大野 瑛介

 

 

1 歳入構造

 

 インドネシアの財政の問題点として、低い税収比率がある。

 インドネシアの歳入は2001年時点で、GDP比率で20.8%と、近隣の東南アジア諸国と比べても高い。(マレーシアは18.3%)しかし、一方で税収比率は12.5%(マレーシアは14.3%)と低い水準にある。したがって税収比率を上げることが求められる。

 仮に、平均税率を1.5%引き上げることができれば、財政赤字は2001年実績の2.8%から1.3%に縮小できる。

 また、インドネシアは税制の執行が不十分であり、かつ、税務当局に汚職が蔓延しているという問題も抱えている。「実際に徴収した税額」の「制度上徴収可能な税額」に対する比率と定義される捕捉率は、除々に改善しているものの、2002年時点で75%にとどまっている。仮にこれを100%にすると、平均税率を33%引き上げることと同様の効果をもたらす。

 

 

2 歳出構造

 

 開発途上にあるインドネシアでは、開発歳出を通してインフラ整備を行う必要性が高い。しかし、アジア経済危機の影響による債務返済負担、2001年からの地方分権化により開発歳出が縮小している。開発歳出はルピア・ファイナンスとプロジェクト援助があり、前者はインドネシア政府が自らの資金で、後者はODAによって賄われる。さらに歳出に占める割合が、ルピア・ファイナンスは経済危機前の13%15%から10%ほど低下し、プロジェクト援助は20%から4%にまで低下した。

 この原因は補助金と利払いの増加にある。通貨の急落により、輸入財の高騰が起こり、政府は食糧と燃料に対する補助金の増加に迫られ、また国債発行による利払いもせねばならず、歳出に占めるシェアは25%になった。

 しかし、2003年ごろにインドネシア銀行に対する利払いが大幅に軽減したことをきっかけとして、燃料価格の引き上げによる補助金の低下も相まって開発歳出は急増した。

 

参考文献

『インドネシア再生への挑戦』(2005) 石田正美編 アジア経済研究所